施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

【グリコンシリーズ最終回】舗装の「第一人者になった」という自負がある

  • インタビュー
  • キャリアを考える
公開日:2021.09.27 / 最終更新日:2022.08.16
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

首都高の仕事は、技術的、肉体的にも過酷だった

首都高横浜ベイブリッジでの施工の様子(画像提供:荒井さん)

首都高横浜ベイブリッジでの施工の様子(画像提供:荒井さん)

――首都高との関わりが長いんですよね。

荒井さん そうですね、トータルで30年ほど担当し、この間、300名ほどの方々とお付き合いさせていただきました。私の知る限り、全国の都市高速の中で、首都高さんが最も供用条件、施工条件が過酷だと思います。

都市高速によっては、集中工事を行う際、全面通行止めにしますが、首都高さんはまず全面通行止めにすることはありません。過去に1回しか通行止めにしていないと思います。首都高さんが集中工事を行う際には、必ず車線を確保した上で、実施しています。通行止めすると、車両通行に対する影響が非常に大きいからです。常に首都高さんはお客さん第一ですから。

工事も夜間だけであり、時間的な制約も厳しいです。これは技術的にも肉体的にも過酷なことであり、かなり難しいことなんです。一般的な補修工事は夜間で行い、朝の5時には開放が条件です。また集中工事では朝の5時に工事を始めて、翌日の朝5時に終えるといった感じで、非常にシビれるような工事です。私はそういう工事に舗装業者の技術屋として長年関わってきました。首都高さんから「知恵を出せ」と言われて、なんとかひねり出してきたんです。

――首都高は舗装も傷みやすいのでしょうか?

荒井さん それは傷みやすいですね。昔は過積載も多かったですし。そもそも幅員が狭く、通行車両はほぼ同じところを走るので、わだちができやすいということもあります。首都高で一番狭いところは幅員が3.25mしかないんです。すぐ横を車が走る中、コーン1つ置いて、工事をやるわけです。

――予定通り工事を終えられなかったこともあったわけですか?

荒井さん それは何回もありました。急に雨が降ってきて、工事を止めざるを得なかったとか。そういうときは、予備合材で埋めて、仮復旧させておいて、翌日再チャレンジしましたね。

舗装は現場を見ないと始まらない

首都高レインボーブリッジでの施工の様子(画像提供:荒井さん)

首都高レインボーブリッジでの施工の様子(画像提供:荒井さん)

――現場に出ていたんですね。

荒井さん それは当然です。舗装には、「現場を見ないと始まらない」ところがどうしてもあります。私はおそらく、舗装会社の技術屋としては、首都高の現場に一番多く立った人間だと思います。首都高2号線以外はすべての路線の現場に立ってきました。役員になるまで、ずっと現場でしたから。

材料会社でも現場に多く出ている技術者の方々がいらっしゃいますが、会社は違えど、そういう方々は「戦友」だと思っています。また首都高さんにも舗装を熟知された方がいて、その方と現場で課題を一緒に解決しながら規制解除を迎える時は達成感がありますね。

――首都高で思い出に残っている現場は?

荒井さん 首都高の鋼床版SFRC工事でしょうかね。アスファルト舗装を撤去して、鋼床版面を露出させ、ショットブラストで鋼床版面を研掃し、その後接着剤を塗布してその上に超速硬コンクリートを打設。その上に防水層施工後、表層舗装を施工して開放。これを24時間で3工区同時にやる。

隣を一般車が走行する中で、各工区を技術指導していく。5年間で延べ60回参加しましたが、総勢100名以上の人々が時間を見ながら作業を行うわけです。疲労困憊の中で交通開放を迎える。この仕事が一番思い出深いですね。

経験を積むと、「解」に近づける

――舗装工事の魅力は?

荒井さん 「舗装に同じものはない」ところですかね。舗装は、気象条件、施工条件、交通条件のどれかが異なると、まったく別のものになります。似たようなものであっても、違うものなんです。過去にやった「工事の引き出し」を開けながら、ドンドンやっていくんですけど、条件が常に違うので、間違えたり、失敗したりします。毎回、「解」が違うわけです。ただ、経験を積むと、「解」に近づくようなところがあります。それが舗装の面白いところですね。

――舗装がキレイに仕上がったら、達成感を感じるということはありますか?

荒井さん もちろん、舗装の平坦性は良いに越したことはありませんが、平坦性に多少難があったとしても、耐久性には問題はありません。舗装の見た目の仕上がりのキレイさだけを重視するのは、なにか違う感じがします。あとで問題が起きる可能性があるからです。

極論すれば、ラインがキレイなら、舗装もキレイに見えるんです。逆に、ラインを間違えると、舗装も汚く見えます。でも舗装の耐久性は変わりません。

ちゃんと基準に入っている材料でも、検査員によっては「粗過ぎる。やり直せ」と言われることがあるんです。でも、舗装の耐久性でいけば、交通荷重を考えると、その材料のほうが間違いなく良かったりするんです。しかし、見栄えは悪い。そういうこともあるんです。その辺は、正直ジレンマがありますね。

――プライベートでも舗装が気になったりすることはありますか?

荒井さん それはありますね。悪い舗装を見ると、その原因がだいたい分かるので、「ここでフィニッシャが止まったんだな」とか、「ここは合材が冷えて大変だったんだな」とか、「現場監督はここをこうすることで、なんとか切り抜けたんだな」とか感じることがあります。

「部分最適」ではなく、「全体最適」へのシフトが必要

――ちょっといじわるな質問になりますが、新橋建設などの場合、舗装の仕事は、「最後の付け足し」みたいな感じで言われることがありますが、その点どうですか?

荒井さん 土工屋さんからは、舗装屋は「塗装屋」と言われてたりするわけです。ただ、橋梁の上部工の仕上がりがヒドくて、舗装厚がとれないケースもあったりするわけです。(もちろん規格に入っていますが)舗装厚は75ミリが標準なのですが、20ミリしか厚がつかないことがあります。逆に、100ミリ以上舗装をもらないと、高さが合わないケースもあったりするわけです。そういうものも含め、全部背負ってやるのが舗装の仕事なんです。

日大の岩城先生の発案で、少し前に「三位一体研究会」というのをやったんです。発注者、橋梁メーカー、防水メーカー、舗装会社が一緒になって勉強会を開いたんです。橋梁メーカーさんは、良かれと思って、コンクリート養生のためにポリマーをいっぱい噴霧します。ところが、舗装会社にしてみれば、その上に高機能防水を施工する場合、ポリマーが悪影響を及ぼすので、わざわざポリマーをブラストで除去した上で、舗装することがあります。

結局、それぞれの立場で「部分最適」をやっているわけです。しかし、大事なのは構造物全体が持つかどうかという「全体最適」なのです。原点に立ち返って、それをもう一度勉強しましょうというのが研究会の趣旨でした。

構造物全体から見れば、舗装は添え物に見えるかもしれませんが、供用すれば舗装が車との接点になるわけです。大事なことは、道路管理者に負担をかけないことです。それをちゃんとやるためには、橋梁メーカーと舗装会社などが意見を交わす必要があると考えています。

例えば、上部工の床版が不陸のままでは、舗装厚がちゃんとつかないことがあります。そういうことがないよう、発注者を含め、橋梁メーカー、舗装会社が一緒になって問題解決できる仕組みづくりが必要だと考えています。また、そもそも、舗装を上面に施工する必要のない平滑なコンクリート床版ができれば、そのほうが道路管理者にはメリットがあるかもしれません。そのような検討をそろそろしていかないと、いつまで経っても「部分最適」のままが続くと危惧しています。

ここは、「私がもうちょっと若ければ」と歯がゆい思いをしているところなんですよ(笑)。

グリコンシリーズ第1弾【荒井明夫 代表取締役】の記事はコチラから

人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!

「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、

こちらからお気軽にお問い合わせください。

«12
  • この記事をシェアする35
  • この記事をツイートする1
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
【グリコンシリーズ第2弾】 大きな仕事もできる「働きやすい会社」
【グリコンシリーズ第2弾】 大きな仕事もできる「働きやすい会社」
グリコンシリーズ第2弾【設計センターの3名】 グリコンシリーズ第2弾は、グリーン・コンサルタント株式会社(以下、グリコン)設計センターのお三方だ。 設計センターは、その名の通り設計業務を行う部署で、舗装に限らず、テストコ...
【グリコンシリーズ第3弾】好きに仕事させてもらえるので、働きがいがある
【グリコンシリーズ第3弾】好きに仕事させてもらえるので、働きがいがある
グリコンシリーズ第3弾【関東営業所技術部の3名】 グリコンシリーズ第3弾は、グリーン・コンサルタント株式会社関東営業所技術部のお三方だ。 関東営業所の技術部と言われても、いまいちイメージが湧きづらいが、舗装に関する試験や...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
【グリコンシリーズ第4弾】舗装のことを知らなくても、真剣に取り組めば必ず一人前になれる
【グリコンシリーズ第4弾】舗装のことを知らなくても、真剣に取り組めば必ず一人前になれる
グリコンシリーズ第4弾【調査センターの2名】 グリコンシリーズ第4弾は、グリーン・コンサルタント株式会社調査センターのお二人だ。 調査センターでは、測定車両を用い、全国の舗装の路面性状や舗装構造などの調査、解析などを行っ...
【グリコンシリーズ第5弾】元サクソフォン奏者も在籍。営業所勤務ってアリなの?
【グリコンシリーズ第5弾】元サクソフォン奏者も在籍。営業所勤務ってアリなの?
グリコンシリーズ第5弾【中国営業所の3名】 グリコンシリーズ第5弾は、グリーン・コンサルタント株式会社の営業所業務の紹介だ。グリコンには全国11の営業所があり、それぞれエリア限定で業務を行っている。業務内容は、本社と同じ...

この記事を書いた人

四国の犬
この著者の他の記事を見る
基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
【グリコンシリーズ最終回】舗装の「第一人者になった」という自負がある 【グリコンシリーズ最終回】舗装の「第一人者になった」という自負がある

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 【グリコンシリーズ最終回】舗装の「第一人者になった」という自負がある
  • 施工の神様
  • キャリアを考える
  • 【グリコンシリーズ最終回】舗装の「第一人者になった」という自負がある

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様