自社の職人の独立を支援する「逆独立採用」
――職人を積極的に採用している背景は?
櫻井社長 建設業界全体として、若者が入社しない、または入社しても育成ができないことが課題であり、私たちも10年前から不安を抱えていました。そこで当社では、協力会社の採用活動についても協力してきました。具体的には、リクルート業者を紹介するほか、当社から協力会社の良さを求職者に説明することなどもしてきました。
こうした取組みによって、雇用に成功した例もありましたが、入社先での厳しすぎる教育などによって、若者が退職する事例も多く、当社の取組みがうまくいったとは言えない状況でした。
さらに、このコロナ禍で業績が苦しくなった協力会社もあり、一部では会社を閉じたところもあります。そうした元協力会社の親方や職人の採用を進めております。これまで当社を支えてきた技術力の高い協力会社が社員になることで、当社も成長し、受注できる現場規模が拡大すれば、複数の現場を同時並行でき、受注数も増えると予想しています。
ですが、この取組みの目的は協力会社の職人を自社の社員にしたいということではなく、若い職人を育成し、次世代に技術・技能を伝承し、品質を保全していくこと、一人でも多くの技術者・技能者を増やしていくことが狙いです。
ですから、当社に入社した職人たちが5~10人のチームになり、彼らで再度独立して協力会社をつくりたいという意欲があれば、当社としても独立を支援する「逆独立採用」として制度化しています。これにより、当社で新たに育てた人材や温存した体力をもとに再度独立することが可能です。例えば、Aという一人親方が当社に入社後、Aを筆頭とした5人のチームを構成したとします。このチームが協力会社として独立することを支援するものです。

逆独立制度のイメージ図
当社も協力会社も「チーム・スエヒロ工業」で一緒に頑張っていくことには変わりがありませんし、こうした関係性が良い仕事につながります。そして、こうした採用方法によって職人の高齢化や若者の減少という構造的な課題の解決を図り、「建設業を支える優秀な担い手の確保・育成」につながることに期待して、継続的に取り組んでいきます。
防水専門工事業では全国初の「えるぼし」認定
――このほど、「えるぼし」(2段階目)を取得しましたね。
櫻井社長 2021年8月に、女性活躍推進に関する状況などが優良な企業が認定される「えるぼし」(2段階目)を取得しました。静岡県内の建設業者としては3番目、防水専門工事業では全国初の認定となりました。
建設業界における「えるぼし」の認定は、ほぼゼネコンの大手・準大手などに限定され、専門工事業者はほぼ取得していない状況にあります。当社はかねてより、ダイバーシティ経営に注力し、女性が活躍できる環境の整備を進めていました。
2021年6月には、使用頻度が減った会議室を利用して、キッズスペースを設けました。従業員の子連れ出社をしやすくすることが目的です。すでに放課後に小学生たちが会議室に帰宅し、仕事終わりまで思い思いの時間を過ごしています。

スエヒロ工業のキッズスペース
このような取組みの情報発信を続けた結果、2021年には建設職人4人が入職しました。うち1人は女性です。現在、社員雇用している職人は7人になりますので、立派な職人集団を形成し、さらに機動力のある会社に成長していければと思います。
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