立野ダムに来たら、人の多さに驚いた
――海老原さん、これまでどのような仕事をしてきましたか?
海老原さん 最初の配属先は、北海道の平取(びらとり)ダムの現場でした。丸2年間いました。ただ、冬場は工事が止まっちゃうので、お前は現場に残っていてもしょうがないということで、道外の現場に応援に出されました。
出された先は、岩手の小中学校のグラウンド整備工事とか、道路の改修工事の現場でした。そこにハマったのかどうか定かでありませんが、2回目の冬季応援で出たら、帰れませんでした(笑)。
結局、トータルで4年ほど岩手にいました。ちっちゃい樋門の工事をやったり、水門の工事なんかをやりました。その後、立野ダムの現場に来ました。岩手では所長と私だけとかだったので、人の多さに驚きました。
息の抜き方を覚え、作業員さんとも対等に話せるようになった

新田さん
――新田さん、現場にはもう慣れましたか?
新田さん そうですね。最初のころに比べて、体力的にもラクになりました。
――体力はつきましたか?
新田さん 体力はつきましたし、息の抜き方を覚えました(笑)。ずっと全力でやっていたら、自分の体力がもたないことに気づいたんです。
――どういうことですか?
新田さん 最初のころは現場のことを知るために、「現場をよく見ておかないと」という気持ちがスゴい強くて、自分の仕事ではなくても、ずっと現場に出て作業を見ていました。あと、作業員さんがやっている仕事をわかろうとして、作業員さんと同じ作業をやったりしていました。
しばらくして、そういうことをずっとやっていると、自分の体力・時間が必要以上に消耗されてしまうことに気づいたんです。それからは、ずっと現場で見ているんじゃなくて、ポイントを押さえて、見なきゃいけないことだけ見るようにしました。作業員さんとやりとりするのも、すべて現場に行って口頭でやるのではなくて、連絡アプリを使うようにしました。
――いつごろ気づいたのですか?
新田さん 1年半前ですね。一回体調を崩しまして、その後ぐらいからです。
――作業員さんとのやりとりも慣れましたか?
新田さん そうですね。以前よりは自分の知識や経験が増えたので、自信を持ってやりとりできるようになりました。最初のころは、言い返されると、自分が言っていることが正しいのかどうか判断できなくて、困ったり、強く言い切れなかったりしていたんですけど、今は比較的対等に話せるようになったと思っています。
――今担当している仕事も自信を持って臨めていますか?
新田さん 自信がないときもあります。この伝え方で良かったかなとか、この指示の出し方で良かったかなと思うことはあります。自信がないときは、ムリせず、作業員さんに相談することもあります。仕事の自信度に関する自己評価は「まあまあ」です(笑)。
ダムは工種が多いので勉強になる

海老原さん
――海老原さん、立野ダムの現場に戸惑いなどはありませんでしたか?
海老原さん 比較的すんなり入れました。平取ダムの現場では、右も左もわからない状態で、言われたことだけやるという感じでした。その後自分なりに経験を積んで立野ダムに来たわけですが、平取ダムのときと比べれば、われながら、「視野がずいぶん広がったな」と感じました。
ダムの現場で良いなと思うのは、工種が多いことです。非常に勉強になります。一つダムの現場を経験すると、複数の現場を経験したような感覚になります。戸惑いがあったとすれば、繰り返しになりますが、人が多いことでした(笑)。
――人が多いと良いこともあるんじゃないですか?
海老原さん そう言われたら、休みはとりやすいですね(笑)。人が多い分、調整がラクです。2人現場のときは、休みをとるのが心苦しかったので(笑)。
早く新田さんクラスの人間になりたい

正木さん
――正木さん、立野ダムに来てどう感じましたか?
正木さん 立野ダムに来てまだ半年ぐらいですけど、やっぱり、「デカい現場であるがゆえに、得られるものも多いな」と感じているところです。海老原さんもおっしゃっていましたが、基礎処理工、堤体工といろいろな工種を学べるので、良い現場に来たなと思っています。
新田さんが「抜くところは抜く」というお話をされていましたが、私はまだそういうレベルに達していません。日々けっこう張り詰めながらやっているのが現状です。
――疲れませんか?
正木さん 疲れますけど、指示する立場の人間としては、まず作業員さんの仕事を理解しないといけないので、仕方ないと思っています。早く新田さんクラスの人間になりたいです(笑)。
――現場仕事自体に戸惑うこともあるのではないですか?
正木さん ありますね。やはり、現場は机上の理論とは違うので、これまで勉強してきたことと全然違っていて、戸惑うことは多いです。
一番戸惑ったのは安全面です。現場内を歩くときに、ここを通って良いのか、悪いのか、わからなかったことがしばしばありました。たとえば、「クレーンの吊り荷直下」の意味がまったくわかりませんでした。クレーンの直下にいても、私自身はなにも動じることはないんですが、現場の他の方々から注意を受けました。そういった現場で常識とされていることに戸惑っています。
現場が動いているときは、休まないのが当たり前だった

中野さん
――中野さん、立野ダムはどうですか?
中野さん 工事の最盛期で、しかも堤体が柱状工法なのもあって、現場での上り下りが非常に多いので、「ダムってキツいなあ」と思っています。一方で、海老原さんもおっしゃっていましたが、人が多い現場なので、休みがとりやすいのは良いなと思っています。これまでの現場は、私の上は40才以上の方々ばかりだったので、現場が動いているときは、休まないのが当たり前でした。
――立野ダムの現場は楽しいですか?
中野さん 大変ではありますけど、仕事の内容的にはいろいろ経験できているので、楽しいです。
堤体工の前に、横坑閉塞工といって、ダムの調査坑を埋める工種をやっていたのですが、ここに来るまで、そんな工種があることも知りませんでした。あとは、掘削も見れたし、発破も見れたし、土留めも見れたし、とにかくいろいろな工種を見れるのが楽しいですね。いられるなら、完成までいたいです。
最初なんてとくに何も分からないのに、「やります!がんばります!」とか言っちゃうんだよね~ わかる。
上司にも恵まれていますね。でなければ失敗が失敗で終わっていたかも。
他の業種ではマニュアル化されていて起こり得ない失敗ですね。
とか言ってみる。