売上高5000億円見込むも利益は減
説明会では、堀社長から2022年の業績の振り返りがあった。2022年度推定として売上高は5063億円(前年度比13%増)、営業利益139億円、経常利益178億円で、目標とした売上5000億円を達成できたことは喜ぶべきとした一方、資源高の影響で2021年度と比較しても減益を見込んでいる。また、営業利益の前年差は国内が55億円減、海外が42億円増と明暗が分かれた。国内は資源高で約220億円の損失が発生したため、価格改定を実施。約170億円がプラス要因となったものの、前年度比の減益は避けられなかった。海外も同様に資源高の影響を受けたものの、アメリカを中心に早急に価格改定を実施し、これがプラス要因となり、海外は利益でも堅調さを見せた。
また、売上高の中身については、国内は住宅事業が前年比105%だった。高付加価値化による需要が創造されたが、樹脂窓(前年比7%増)、アルミ樹脂複合窓(同16%増)で、樹脂窓が少し苦戦したと総括した。エクステリア事業は同じく前年比105%。建物と外構の一体設計提案を推進し、カーポートは同107%、門扉・フェンスが同112%となった。ビル事業は前年比115%と好調。首都圏強化・改装提案が功を奏し、新築(同17%増)、改装(同11%)ともに高い伸びとなった。
海外展開では、北米が前年比141%。東海岸の販売の好調と中西部や西部でのサービス強化によるビル事業(同46%増)、製造供給力強化による販売拡大による住宅用の樹脂窓であるレジデンシャル事業(同46%)が、いずれも好調さを見せた。
中国では2021年と比較すると復活の兆しも見え始めており、中級市場商品による新規顧客開拓と改装チャネルの拡大により、前年比134%となった。また台湾では高級市場でのさらなる販売拡大と中南部地域の開拓により、前年比136%。インドネシアもチャネル開拓と新商品投入による販売拡大で前年比134%と、海外はいずれも底堅い成長をみせた。
総括すると、売上高5000億円を達成できる見込みであるものの、国内では価格改定の遅れによりコストアップ分を吸収できなかったことが課題として残った。ただし、2023年1月でも価格改定を実施しており、この改定により材料の圧迫分の近い部分についてはカバーできると期待している。次に海外事業は北米がけん引し、増収増益を達成したものの、北米以外のエリアでのさらなる事業拡大を強化することが課題だ。
堀社長「新規事業・エリアの開拓をバックアップ」
堀氏は、創業家の吉田忠裕氏から引継ぎ2011年に社長に就任し、約12年間つとめた。YKK APは65歳になると社長を退任する内規に従って今回交代することになった。堀社長は東日本大震災から始まったこの激動の12年を振り返るとともに、「樹脂窓を世に出した時には本当に売れるのかと思っていたが、今や当社の住宅用窓の出荷数の30%を超え、さらに企業理念のバトンを落とさずに次に渡すことができた」と安心感を語り、会長職にあたっては、新規事業や新規地域の開拓を座長的にサポートしていく決意を述べた。