奄美、小笠原の離島振興に従事
田中さん その次は、本省の国土政策局に出向になりました。特別地域振興官付の調整官という立場で、奄美諸島と小笠原諸島の離島振興を担当しました。河川、港湾、空港、農業、簡易水道、下水道といった公共工事全般の補助事業を2年間担当しました。
――奄美大島は九州地方整備局ではないんですね。
田中さん 国土交通省直轄は重要港湾の名瀬港だけです。国道58号がありますが、県管理です。
――現地には行ったのですか?
田中さん 奄美群島には行きましたが、小笠原諸島には、台風や国会のため、結局行けませんでした。
――小笠原は世界遺産ではなかったですか?
田中さん ええ、世界自然遺産です。それで、小笠原に空港をつくろうという話があるんです。1000km飛べる飛行機が離発着するには、2000mの滑走路が必要ですが、そんな長さの滑走路はつくれないので、1000mぐらいの滑走路がつくれないかと東京都と検討していました。ただ、そんな飛行機は存在しないので、オスプレイのようなティルトローター機ならいけるかも、というような議論をしていました。
――コロナ禍だったと思いますが。
田中さん 途中からコロナ禍になりました。なので、公共工事以外にも、コロナ対策なんかもやりました。民間のベンチャー企業が開発した脈拍、呼吸数、血中酸素濃度がわかるアプリがあることを教えてもらったので、ホテル宿泊予約客に対して、旅行に行く前にこのアプリでチェックするといったことをやりました。ただ、Go Toキャンペーンが中止になったので、実際に活用されることはなかったんですけどね(笑)。
――そんな出向もあるんですねえ。
田中さん 一応道路系のポストらしいんですが、突然私が担当することになりました。技術系は私だけでした。ずっと道路畑できたので、道路以外の分野の用語などがわからなかったので、最初は苦労しました。あと、奄美群島や小笠原諸島の土地カンもなかったので、そういう意味でも苦労がありました。
――毛色の違う仕事だったと思いますが、どうでしたか?
田中さん いろいろな省庁の交付金の勉強ができたのは、良かったと思っています。その知識は、今の仕事にも役立つことがあるからです。
高規格道路を1日でも早く開通させたい
――その次が?
田中さん 今の職場です。2021年4月に着任しました。
――以前勤務経験のある職場なので、慣れるのは早かったのではないですか?
田中さん 道路に関してはそうですが、河川は初めてだったので、最初はいろいろ勉強しました。
――今チカラを入れている事業はなんでしょうか?
田中さん やはり高規格道路の8の字ネットワークの整備です。現在は窪川佐賀道路の工事が全盛期を迎えているところです。以前私が在籍したときに事業化した直後でしたが、1日でも早く開通させたいという思いでいます。その一方、佐賀大方道路や四万十大方道路など未整備の区間もあるので、これらの開通に向けてしっかりやっていかなければなりません。
河川では、中筋川での樋門の整備や流域治水の取り組みなどにチカラを入れているところです。個人的にはもっといろいろなことをやりたいのですが、ただ、直轄は四万十市内だけなので、その辺は悩ましいところです。
――職員のマンパワー的には足りていますか?
田中さん ウチの事務所は職員数58名ですが、正直足りていません。たとえば、河川計画課には、課長と係員の2名しかいません。職員が少ない分、情報をしっかり共有しながら、組織横断的に取り組むことで、なんとかやっています。

黒潮佐賀IC(上分地区)の現場(中村河川国道事務所写真提供)

四万十中央IC(平串地区)の現場(中村河川国道事務所写真提供)
住民に喜ばれるのが、この仕事の魅力
――四国地方整備局の仕事のやりがい、魅力について、どうお考えですか?
田中さん やはり道路が開通したときですかね。道路ができあがって、開通したときに、地元の皆さんなどがスゴく喜んでくれるんです。それを見たときに、「この仕事を頑張って良かった」と強く感じました。そこが魅力かなと思っています。
土木は、一品一様なんです。似たような構造物でも、同じモノは二つありません。新しいモノをつくるたび、毎回イチからから悩まなければなりません。土木の大変なところではありますが、その分完成したときに達成感を味わえるので、そこに非常なおもしろみがあると考えています。
―― 一番思い出に残っている仕事はなんですか?
田中さん 須崎道路です。仕事を頑張って良かったという話は、このときの経験です。一番印象に残っていますね。
――ちなみに、四国管内で人気の職場はあるのでしょうか?
田中さん 松山、高松、高知といったところは、人気がありますね。
――逆に、人気のない職場もあるわけですね。
田中さん ええ、あります。どことは言えませんが(笑)。
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