エクステリア工事は「西高東低」
――コロナ禍でのエクステリア需要も伸びているのではないでしょうか?
渡辺室長 ええ。エクステリア市場は2016年度を100と起点で計算すると、2018年度は110.1、2019年度が109.7と大幅に伸長しています。2020年度はいったん落ち込み102.2となりましたが、2021年度は105.3と回復しました。新設住宅着工戸数は2021年度に88.5と落ち込んでいる反面、エクステリア需要が拡大している理由は、コロナ禍で働き方もテレワークが主流になり、おうち時間が長くなったことが大きいと考えています。とくにカーポートが2021年度に123%(2016年度比)、同じくデッキが113%(同)と伸びています。
顧客からはこれまで関心の低かった庭先にもなにか変化をもたらしたいというニーズが増えているように感じています。こうした動きは世界的にも同様で、先進国も新興国もガーデングッズの販売が好調という傾向もあります。

新設住宅着工は減少傾向だが、エクステリア市場は堅調に推移
――DO SPACE 四国のある西日本でのエクステリア市場は、どのような状況でしょうか。
渡辺室長 西日本に限らず、全国的に施工技能者は不足していますが、とりわけ冬季は降雪対策もあり、カーポートの取付け作業が多くなります。施工まで3~4週間ほどお待ちいただくことも日常的で、作業の平準化は課題です。
加えて、名古屋や福岡といった地域は、土地が広いこともあり、建築本体部分以外の家の外観や外構の意匠性ついて関心の高いユーザーが多い傾向にあります。そのため、エクステリア部門の工事量は「西高東低」で、マーケットの成長余地も大きいと感じています。
建材流通店が材工を自己完結できるように
――エクステリア工事の人材動向についてはどう見ていますか?
渡辺室長 建材流通店の営業担当者が設計図を作成し、施工管理まで行うなど、多能工化が進んでいることに注目しています。こうした方に向けても、サッシあるいはブロック塀を取り付ける、あるいは造園業を営む方にフェンスやカーポートなどのエクステリア工事も施工できるよう、所有する技能の守備範囲の拡大を提案していければと考えています。
もちろん、デッキの施工は可能でも、カーポートは難しいという技能者もいますが、建材流通店にとっても技能の拡大によって商売の幅も広げていただければと願っています。
とはいえ、建材流通店の営業担当者や技能者のキャパシティは限られていますから、当社もビスの本数を減らしたり、シーリングの長さを1/3にしたりするなど、品質のバラツキが発生しないような簡易施工方法や省施工の開発を強化し、トータルでの施工時間が短縮化するよう努めています。一例ですが、省施工治具の開発では「折板荷上げローラー」を開発し、2022年5月から発売して商品化しています。
建材流通店で材工すべてを自己完結できるような流れを推進していければ利益も向上しますから、メーカーとしてもメリットのある取組みであると考えています。

内覧会のもよう
――エクステリア工事の未経験者に対しての底上げは重要ですね。
渡辺室長 これからの時代は、本人の意思や会社の姿勢というものが最も重要です。会社から言われて仕方なく受講されている方と、自発的に受講されている方では、明らかに姿勢が異なりますから。受講生の意思と先方の会社の姿勢、そして当社の考えが合致した上で研修を行うことができれば、営業担当などの初心者も十分に施工ノウハウを吸収できると信じています。
――上尾と四国の研修所の今後の展開については。
渡辺室長 上尾を施工技能者の知見をもととした研修プログラムの開発部門とし、上尾で開発したプログラムを四国で展開する流れとなっていますが、今後は四国エリア以外でも同様の施設の展開を予定しており、製造所をベースとして、東北や九州での立上げの構想もあります。そのためにも、上尾と四国での成功事例を早期に積み上げていかなければなりませんので、より一層、研修を活性化していければと考えています。
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