厚生労働省によれば、将来的に介護職員が60万人超も不足すると言われており、ご自宅での介護が中心となる流れは避けられません。今後、自宅で介護がしやすい住宅構造とすることがより重要となるため、私たちとしてもこの介護リフォーム事業を伸ばしていく考えです。
鈴木常務 快適な住まいのためのリフォームは、高齢者や障がいをお持ちの方をはじめとして非常に需要も大きいんです。千葉市稲毛区にはURの集合住宅がありますが、5~6階に住まわれている高齢者にとって日々の階段の上り下りは体力的にも難しく、引っ越さなければいけない場合も出てきます。
こうした方々に向けた住宅は確実に増えていきますので、今後はケアが必要な方向けの住宅デザインや設計という考え方はより重要になってくるかと思います。
――超高齢化社会の到来で、住宅像も変わりますね。
依田社長 施設介護については、社会福祉法人や自治体が運営する公的施設の特別養護老人ホームは比較的安価ではありますが、それでも月に10万円前後の費用負担がありますし、そもそも希望者全員が特養に入居することはできません。とはいえ、民間事業者などが運営するサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム、認知症の方が入居するグループホームなどであれば、より高額の費用が必要です。
しかし、訪問介護についてもホームヘルパーの人手不足が続いており、すでに限界を迎えている状況です。そのため、親族の方がご退職されて介護されることも増えており、いまや年間10万人もの介護離職が発生している状況です。つまり、介護にかかる労力によって、これだけ日本の労働力が喪失していることを意味しています。
この状況を食い止めるためにも、駅から近く、コンパクトで、少ないヘルパーでの介護が可能なサービス付き高齢者向け住宅事業の推進を進めているところです。入居費は特養よりも安価で、建設費も一室あたりをコンパクトにすることで抑制できればと考えています。
介護領域のサービスを一気通貫で提供し差別化
――このサービス付き高齢者向け住宅事業は、どのようなビジョンで進めていきますか。
依田社長 私たちのような民間企業としてできることは、低賃料の集合住宅の建設・運営です。有料老人ホームとの違いは敷金・礼金がなく、介護サービスも受けられ、地域密着型で運営していける点で、これがもっとも経済的であるとも考えています。これらを、まずは千葉市の稲毛区、美浜区界隈を中心に、まずは5棟の建設に着手していく考えです。この地区は公営団地が多く、当社もヘルパーを派遣していますが、階段で回るためヘルパーにとっても重労働ですから。
鈴木常務 施工自体も「さくらホーム」が担当します。サービス付き高齢者向け住宅は他社の工務店でも施工することは可能ですが、医療・介護・福祉の現場を知っている私たちとしては、一気通貫で介護サービスまで提供できることが強みですし、住まわれる方もそのほうが安心できるかと思います。この一気通貫による価値提供で、先に話したように、日本の介護業界が抱える課題に貢献していければ嬉しいですね。
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