エリア拡大は人材ありき
――スタートアップ企業との連携も模索されているようですね。
永草社長 ソフトバンク株式会社の子会社であるSTATION Ai株式会社(愛知県名古屋市)が運営するオープンイノベーション拠点「STATION Ai」に、2025年2月からパートナー企業として参画しました。ここは、ソフトバンクが2018年に愛知県の「Aichi-Startup戦略」における「愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業」の整備運営事業者の選定を受け、スタートアップを創出・育成する施設として2024年10月に名古屋市鶴舞公園内に開業した日本最大規模のオープンイノベーション拠点です。
「STATION Ai」には、スタートアップをはじめとする新規事業創出に取り組む人々のためのオフィス、フィットネスジム、テックラボに加え、一般の方も利用可能なカフェ・レストラン、ホテル、イベントスペースなどが併設されていて、スタートアップ企業の創出育成やオープンイノベーションの促進を目的に様々な支援サービスを提供しています。ここでは700社を超える国内外のスタートアップ企業、パートナー企業、VCなどの支援機関や大学がSTATION Aiに参画し新規事業創出に取り組んでいます。

オープンイノベーション拠点「STATION Ai」
STATION Aiに参画したのは、建設業でも一歩先を進めるサービスを提供したい想いがあります。愛知県はものづくりを中心に、展開されている企業が多く、新たな技術を提供されているスタートアップ企業が非常に多い。製造業と建設業は、「ものをつくる」「建物を建てる」と近しい関係にあり、例えば経年劣化の映像のAI、埼玉県八潮市の道路陥没事故など、今後、構造物の経年劣化は大きな社会問題になります。もしAIや映像の解析で解決するのであれば、建設業にとっても大きな前進です。今、申し上げた内容の技術を保有するスタートアップ企業からのご提案を受けている所であり、具体的な協業について考えていくつもりです。
――八潮市の道路陥没事故の話が出ましたが、土木の取組みについては。
永草社長 これからは土木もメンテナンス業務や補修点検業務が増えて来ると予測できます。そこで、2024年3月には、トンネル、河川、橋梁、土木造成、下水道管理没、治山工事などの土木事業を行っている「株式会社山建重機」を事業継承し、グループ化しました。ほかにも、地域の土木系企業の事業承継の提案を受けており、面談をさせていただいている最中です。

「株式会社山建重機」がグループ入りしたときの様子
――仕事の場所は東海地方ですか?
永草社長 地域にはこだわっていません。主な工事現場は東海三県(愛知県、岐阜県、三重県)ですが、このほど福岡支店を開設し、横浜市でも大手ゼネコンの営業スタッフをスカウトしました。本社に出社してもらう必要はなく、家庭の事情などに合わせて働きやすい環境で仕事を受注してくださいとお願いしています。
――これから注力される地域はありますか。
永草社長 まず創業の地である愛知県のほか、岐阜県多治見市に本社を置く山建重機をグループ化したほか、岐阜県でM&Aを2~3社検討中で、隣接する静岡県、三重県でもM&Aを実施して、エリアを広げていく方針です。エリアの拡大は人材ありきです。福岡支店開設にあたっては、当地でリーダーシップを張れる人材を獲得できたため、福岡支店の開設に至ったのと同様に、いい人材が獲得できれば、その地域の支店開設も検討しています。土木・建築業は、出会いがあればなんでもできます。
積極的にM&A。家事代行会社もグループ化
――新たにM&Aをされる企業は土木修繕系が中心になりますか?
永草社長 そうですね。加えて、建築系であればBtoB企業。とはいえ工種を厳密に絞らずに、後継者不在の企業を事業承継することです。そしてその企業を存続させて、リブランディングし、永続的に経営企業を築くことが目的になっていきます。これからM&Aの事業の数は増やし、200社あたりを考えています。1社あたりの規模は10億円以内かもしれませんが、魅力的なであれば10億円以上の企業のM&Aを検討する可能性はあります。
今、地方では後継者不足で悩まれているいい会社は多く存在します。当初はシナジー効果が生まれないかもしれませんが、線と線を結ぶことになります。最終的には、これを面へと広げることが肝要です。
――M&Aの理由はやはり後継者不足なのでしょうか。
永草社長 その理由が一番大きいです。10億円未満の規模の企業で後継者不足が発生するかといえば、営業、現場、管理、経理、採用すべてを社長が行っている企業が多く、権限移譲ができていないからです。ただ、そんな仕事のやり方をしていれば、50~60代になると疲弊します。それに忙しさのあまり後継者を育成する準備ができません。当社グループ入りする際は前経営者に残っていただくケースもあり、最も得意な部門、たとえば営業や現場などに特化して業務を行っていただくこともあります。
――地域建設業におけるコングロマリット企業を目指しているように感じます。他の業態をM&Aされたケースもありますか?
永草社長 家事代行、法人向けのビルメンテナンスなどを行っている「株式会社デイジー」を事業継承し、グループ化しました。事業としては建設業を展開していますが、それは手段であり、目的は地域社会を豊かにしていくことにあります。建設業が軸である一方、家事代行、美容なども展開していきたいです。

家事代行、法人向けのビルメンテナンスなどを行っている「株式会社デイジー」を事業継承
「一隅を照らす」存在でありたい
――最後に今後の方針を。
永草社長 私としては、社員が会社を利用して自己実現をするプラットフォームでありたいと思っています。働き方、生き方の選択肢を広げてあげたい。たとえば、「建設業界で社長になりたい」という目標を持って入社したのであれば、それを私は応援したいですし、女性スタッフが資格を取りたいと思えば、そのための環境を整備したい。それが一人ひとりのやりがいにつながっていきます。やりがいが高まるとお客様から評価され、それが給料アップに結び付きます。
目指すのは、時間に縛られず自由に働ける企業です。何時間働いたから、これだけもらえるという企業ではなく、目標を設定し、その目標を達成すれば、しかるべき対価が得られるという本当の意味での成果主義です。当社は会社全体、部門ごとでも決算を実施しますが、一人ひとりが社長にように働き、好きなことを仕事にして稼いでもらい、心も満たされ、お金持ちになってほしいと願っています。永賢組グループに入社すれば自分の夢が実現できるという会社でありたいです。
また、私は建設業へのこだわりはあるのですが、会社の形はどんどん変化させていきたいとも考えています。現在は、売上高100億円規模の地方ゼネコンですが、これを1,000億円へと成長させていくには、社員一人ひとりが経営者マインドを持つことが必要です。
そして、日本を良くするための「一隅を照らす」存在でありたい。仲間たちともに灯を燈していき、日本を復活させたいと思っています。
会社概要
会社名:株式会社 永賢組(ナガケングミ)
本社所在地:〒486-0829 愛知県春日井市堀ノ内町4丁目1-20
TEL:0568-81-6179 FAX:0568-84-4281
代表:代表取締役 永草 孝憲
公式HP: https://www.nagaken.com/
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