施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

現場から工場へ広がるロボット技術。川田工業が挑む、塗膜厚検査から帳票作成までの「完全自動化」

  • インタビュー
  • 技術を知る
公開日:2026.02.17
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

塗装と検査作業、富山工場で一気に自動化へ

自動塗装ラインの構築により塗装工程の省人化が進む一方で、塗膜厚検査の自動化についても同時に開発が進められていた。塗装品質の保証をするうえで、塗膜厚検査の自動化についても同時に開発が進められていた。通常、塗膜厚検査は製品の大きさや形状、塗装仕様に応じた抜取検査で行うことが一般的だが、従来の手法では計測者と記録者の2名が必要で、かつ紙で記録したものを表計算ソフトに入力していた。しかし、ロボットを活用してSCデッキのような広い塗装面を自動で検査を実施できれば、人手をかけずに膨大なデータを取得可能となる。

従来、塗装作業や塗膜厚検査は人力に依存してきた

従来、塗装作業や塗膜厚検査は人力に依存してきた

そこで開発されたのが、今回の「塗膜厚自動検査ロボット」である。システムの基本的な構成に目を向けると、2020年に開発したアバターロボットと同じデジタル式膜厚計を用いて検査を行うロボットと、EGmobileと組み合わせたものだ。塗膜厚自動検査ロボットは、検査開始からポイントへの移動、塗膜厚測定までをすべて自動で実施する。

塗膜厚自動検査ロボットの構成

塗膜厚自動検査ロボットの構成

具体的なスペックについては、EGmobileの外寸が、W600 × D700 ×H400mm、積載質量100kg。塗膜厚自動検査ロボットが通過するSCデッキ下面の空間高さは約1.4mしかなく、さらに下方向から膜厚計のプローブを押し当てて計測するため、低背型のロボットが求められた。このため、アバターロボットで使用した双腕のヒト型ロボットに替えて単腕のアーム型ロボットを採用した。また、塗装環境に対応するためにアーム型ロボットとエンドエフェクタには防塵カバーを施している。

ロボットのエンドエフェクタには、膜厚計のプローブと6軸力センサー、距離センサー、温湿度センサーが取り付けられている。自律走行によって測定ポイントに移動した後、距離センサーを用いて塗装面の近くまでプローブを近付け、そのまま塗装面が傷付かないよう6軸力センサーの値をフィードバックしながら押し当て、塗膜厚の計測を行う。その際、塗膜厚に加えて測定ポイント周辺の温湿度計測も同時に行う仕様となっている。

ロボットのエンドエフェクタには膜厚計のブロープと6 軸力センサー、距離センサー、温湿度センサーが取り付けられている。

ロボットのエンドエフェクタには膜厚計のブロープと6 軸力センサー、距離センサー、温湿度センサーが取り付けられている。

「初期検討段階で、富山工場でアバターロボットを使った実現性の確認を行い、その結果を踏まえて作業環境に適したプロトタイプ機を開発した。これが2号機である。さらに2号機を基に改良を重ねて開発したのが3号機で、現在試験的に使用している」と、池田氏は開発の経緯を振り返る。

さらに強力な武器となるのが、同機と連携するシステム「ぬり助」だ。ぬり助は、スマートフォンに接続したデジタル膜厚計を用いて、塗膜厚や温湿度データといった測定値を直接クラウドに転送し、帳票化までを自動で完了させることで記録者が不要となるシステムである。生産性の向上が期待でき、転記ミスを防止する効果もある。2024年12月には国土交通省のNETISに登録された。国土交通省やNEXCOの帳票形式にも対応し、即座に現場で活用できる点が評価されている。川田工業では、受注した橋梁の施工現場で使用するほか、今後サブスクリプションサービスとして社外への提供に向けた準備も進めている。

膜厚管理システム「ぬり助」と従来の膜厚管理との違い

膜厚管理システム「ぬり助」と従来の膜厚管理との違い

「事前に検査場所全体をスキャンして地図を作成し、ルート設定後にボタンを押すと、ロボットがその設定をもとに自動で動き検査する仕組みだ。実際に塗膜厚を測定すると、『ぬり助』を通じてクラウドに検査データがアップロードされ、帳票が出力される。検査時間の予約も可能なため、始業前にロボットによる検査を開始し、始業時間には検査を終えている、といった運用も可能だ。時間短縮に効果が高く、従来は検査員と記録員が2人そろってチェックしていた工程において、無人で塗膜厚データの自動収集が行える環境を構築した」と、池田氏は胸を張る。

具体的な運用としては、富山工場では、夜間や早朝の人が休んでいる時間を使って人の作業を止めることなく検査を検討している。また、その収集したデータをAIで評価するシステムの検討を進めている。データ評価により塗装工の技量や塗る際のクセなどを把握し、塗装工や塗装ロボットへのフィードバックを行うことで品質の改善、塗装ロスの削減を目指す。塗膜厚自動検査ロボットは、2025年中は試験導入として、有効性が確認できれば2026年度から運用を本格的にスタート。人が行う作業は「最初の事前準備とロボットに対する検査指示だけになる」(池田氏)という。

次のページロボットが切り拓く新たな職域

«1234»
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
「鉄筋の結束は、もう職人がやる仕事じゃない」 香川発の建設ロボが、鉄筋職人の汗一粒の価値を高める
「鉄筋の結束は、もう職人がやる仕事じゃない」 香川発の建設ロボが、鉄筋職人の汗一粒の価値を高める
ロボットで職人の汗一粒の価値を高める 地方から果敢に建設DXにチャレンジしている男がいる。建ロボテック株式会社の眞部達也社長だ。 眞部社長が開発したのは、鉄筋の協働型鉄筋結束ロボット「トモロボ」。自らが鉄筋職人出身でもあ...
「交通規制せずに、インフラをメンテナンスする」コンクリート維持管理のパイオニア【ケミカル工事の使命】
「交通規制せずに、インフラをメンテナンスする」コンクリート維持管理のパイオニア【ケミカル工事の使命】
コンクリート維持管理のパイオニア ケミカル工事 株式会社ケミカル工事(兵庫県神戸市)という企業をご存知だろうか? コンクリート構造物の補修・補強技術に強く、将来、南海トラフ巨大地震などの大災害が発生した際には、必ずやその...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
「土木は好きですか?」と聞く本当の理由
「土木は好きですか?」と聞く本当の理由
土木(仕事)が好きかどうかは、聞かなくてもだいたいわかる 私はこれまで、主に土木技術者の方々に、いろいろ話を聞いて回ってきた。ちゃんと数えたことはないが(数える気もないが)、おそらく100人は超えているだろう。 その際、...

この記事を書いた人

長井 雄一朗
この著者の他の記事を見る
建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
現場から工場へ広がるロボット技術。川田工業が挑む、塗膜厚検査から帳票作成までの「完全自動化」 現場から工場へ広がるロボット技術。川田工業が挑む、塗膜厚検査から帳票作成までの「完全自動化」

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 現場から工場へ広がるロボット技術。川田工業が挑む、塗膜厚検査から帳票作成までの「完全自動化」
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 現場から工場へ広がるロボット技術。川田工業が挑む、塗膜厚検査から帳票作成までの「完全自動化」

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2026 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様