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自分の気づきで動ける土木技術者こそ100点満点。中村建設(奈良県)の「変わりシロ」とは?

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公開日:2017.09.07 / 最終更新日:2017.09.08
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9割の建設業経営者は「人がけえへん」と文句を言っているだけ

施工:土木技術者の採用はどうなっていますか?
中村:採用には苦労しています。人が全然いません。私は「一般社団法人地域建設業新未来研究会(CCA)」という組織の代表をしており、全国の25社ほどの建設会社の経営者と意見交換していますが、人がいないのは、地域性で言えば、奈良県に限らず、全国どこでもそうです。どこも枯渇しています。

ただ、企業別では、話は違ってきます。集まっている建設会社には、人が集まっています。なぜ人が集まるのかと言うと、採用活動に社員の強い意識と資本とそのための工夫をしているからです。人に来てもらう努力をしているか、していないか、その違いがあります。多くの地域の建設会社は、その努力をしていないのに、「人がけえへん」「職人がけえへん」「これからどないしたらええねん」と文句を言っているだけなんです。

じゃあ、ブツブツ文句を言っていれば、国や県が土木技術者を手配してくれるのかと言うと、「そんなわけがないやろ、アホウ」ということになります。多くの建設会社が文句を国や県に言いに行きますが、筋が違う話です。社長が何の努力もせず、役所に責任転嫁しているだけです。あるいは、大手の建設会社がやってくれると思っている人もいます。そんな会社に人は集まりませんよねえ。地域建設業の9割の社長は、そんな国や自治体頼みの体質から抜け出すことができていなんです。

施工:しかし、それでも人の採用を続けてこれたわけですよね?
中村:昔は、人のつながりなどで、何とかなってきたんです。ところが、最近はそういうつながりで人を引っ張ることができなくなっています。インターネットなどで個人がカンタンに業界の情報をとれるようになっているのもあって、土木を勉強している学生であっても、建設以外の華やかな仕事に流れることは少なくありません。

学生の意識の変化もありますが、親などの影響もあります。中村建設で内定を出した学生の親から「ウチの子どもを建設会社で働かせるわけにはいきません」と電話がかかってきたことがあります。会社として情けない話です。

私は、悲観論ばかりの不毛な議論は終わりにして、行動することにしています。例えば、CCAで知り合った他県の建設会社で人集めに成功している会社があったら、マネさせてもらいます。それを繰り返していると、奈良県では他にやっているところがない異色の会社になっていきます。CCAでは経営者だけでなく、技術者も一緒に行ったりするので、他県の技術者同士の横のつながりも生まれます。

建設業界団体も今のままではダメ、若い世代が改革していくべき

施工:横のつながりという意味では、業界団体などがありますが。
中村:全国建設業協会など既存の団体も今のままではダメです。形骸化してあまり役に立っていません。バブル前にやっていたことを今もそのまま続けているからです。業界団体の中には、意識を変えて何かを作り出そうとしているところもあるので、すべてがダメというわけではありませんが、多くの団体は、真新しい活動をしていません。本来は、業界団体が時代の先端を走って、監督官庁や、地方の行政府と地域のためにタッグを組みながら、もっと根本を変えていく取り組みをすべきなんです。

私は、これまでそういうことを言い続けてきました。われわれの世代がトップに就いているところは少しずつ変わってきてはいます。私は今54歳ですが、私と同世代、若い世代の連中はこの後の危機感の中で行動を起こそうとしていますが、上の世代の古い意識はなかなか変わりません。「そこまでせんでええんちゃうの」という、アンパイを置きにいくような体質がまだまだ残っています。

各業界団体の現在のトップは、だいたい年齢的には私の一回り上です。私自身、建設業界を改革することを考えると年齢的にはピークが来ていると感じています。数年後、われわれの世代がトップを務めるようになって、その頃の40代 50代の経営者が、その時代に合った何か新しいことをやろうとしているときに、彼らに改革を任すことができるか、任せる人材を育てるのも、われわれの大きな課題であると感じています。

現場代理人と役所の現場担当者との飲み会の機会があったら…

施工:入札不調などの問題は、発注者と受注者の意思疎通ができていないのが原因では?
中村:発注者である役所との密な連携、調整がない限り、住民に対するまともなサービスの提供はできません。役所が企画し、建設会社がものを作るわけですから、ここの連携ができていなければ、本来ムリな話です。

ところが、実際の現場では、お互い相手がどんな人間か、どんな性格かも知らないで、一緒に仕事をしているわけです。普通のビジネスではあり得ませんよね。ともに仕事をするなら、酒を飲みながらじっくり話し合って、お互いの性格なども理解した上で、仕事に取り掛かるものでしょう?国交省のキャリアの人には、気さくに話し合える方もいます。発注者の現場担当の人ともそういう場が持てれば、「そんなに一気に仕事を出されても、ムリでっせ」などという話もできます。本当の無駄を省き効率的に住民サービスが提供できるはずです。

ところが、残念ながら、奈良県を含む多くの県、市町村のレベルでは、そのような話し合いはできていません。県や市町村の人は、話し合いの席についても、役所が怖がって、形だけみたいなところがあります。現実にはゼッタイない話ですが、現場代理人と役所の現場担当者との飲み会の機会があったら、どれだけスムーズに仕事が進むだろうと思います。公共工事がスムーズに進まない一番の要因は、現場の人間関係ですから。「そんなもん、一回酒を飲んだら、済む話や」と思っているんですけどね。

 


 

実際にお会いした中村光良社長は、非常にエネルギッシュな方でした。これまでインタビュー取材の中で、その人の持つ「雰囲気」に圧倒されることが時々ありましたが、中村社長もそのうちの一人に入ります。関西弁をカギカッコ「」で編集したのも、中村社長のナマの言葉を読者に感じてもらえたらという思いからです。

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