道路や河川の管理者との協議が必要だと知らない「発注機関の技術者」
国道や県道、市町村道に接続する道路がある場合や、河川区域内での作業が発生する場合などは、それらを管理する機関や担当者との打ち合わせが必要である。工事や業務発注時に交付される仕様書や設計書にも、ハッキリ明記されていることだ。
にもかかわらず、道路協議や河川協議が必要だと知らない発注者側の技術者がいた。設計が完了して成果品を納品したあとに、協議をセッティングしていたのだ。当然、成果品の修正が必要になる。しかも、協議用の資料もまとめなけれはならない。
成果品の図面がそのまま使えればいいのだが、管理する機関によっては、協議資料用に図面を取りまとめて編集することを要求するところもある。まさにこの現場もそれに該当し、設計図面と協議図面の2種類作ることになってしまった。内容はほとんど同じなのに。
あろうことか、その発注側の技術者は、その協議もこちらに丸投げしてきた。発注機関の担当者は同席するだけ。何も説明しない。本来、外部機関との協議は事業主体がやるべきもので、請負者がやるものではない。資料作りに協力するだけだ。
ベテランの年齢の技術者なのに、それを知らないと知った時は、怒りを通り越して呆れてしまった。呆れてモノが言えないとはこういうことか、というのが理解できた場面だった。
他の機関の道路につなげたり、河川区域内で仕事するということは、他所の家に上がらせてもらうということだ。そんなとき、「お邪魔させてもらっていいですか?」と許可をもらってから仕事をするのが当然だ。協議しないということは、土足で他人の家に上がり込んで、好き放題にするのと同じである。
完成したものを壊すように指示をしてきた「発注機関の技術者」
次は正直言って「ふざけんな!」という事例。危うく「ふざけんな!」と暴言が口から出てしまうところだった。危ない危ない。
ある国道の擁壁を造っていたときのこと。設計図書や仕様書、公的な技術基準に基づいて積擁壁の構築をした。私は図面修正の担当だけだったので直接的な害はなかったのだが、発注機関の検査を受けていたとき、担当者が「この箇所、根拠がない。壊してやり直せ!」と言ってきた。
その箇所とは、擁壁の背面にある水抜きパイプの間隔だった。ほんの少しだが、基準と数字が合わない箇所があり、そこが写真にしっかり写っていたのだ。
「根拠ならここにある」と工事担当が基準を示した。その基準に記載してある数字と異なってはいたものの、反しているものではなかった。設計図と見比べてみても、所定の本数より少し多く入っていて、瑕疵が発生するわけでもない。
にもかかわらず、「壊せ!」と言ってきた。実は水抜きパイプの位置は、発注機関の担当者の指示によって配置されたものだったのだ!こちらとしては設計図通り配置しようとしていたのだが、発注機関の担当者は少し余分に入れて、水をできるだけ抜きたい、と言っていたのだ。そうすれば擁壁の安全性が保ちやすい(背面にかかる水圧が軽減されるから)との観点からだった。
自分の指示によるものを公然とないものにしようとしたのには、哀れみすら覚えた。「コイツ、なんも考えてねー」と。もちろん、そんな指示はお断り。ちゃんと検査は通って、会計検査も問題なかった。
一を聞けば十教えてくれる優秀な「発注機関の技術者」も
以上、4つ事例を紹介したが、こういう残念な発注者もいる、というのを認識して仕事に当たって頂きたいと考えて紹介した。心の準備ができていれば、対処しやすくなるからだ。
もちろんだが、仕事の内容をしっかり理解して発注して下さるところもある。こちらが一を聞けば十教えて下さるような発注機関の技術者もたくさんいる。実際、私も多くのことを勉強させてもらったものだ。発注機関の名誉維持のためにも、ここも強調しておきたい。
低レベルな愚痴だな
発注者も発注評定されるべき。
発注者の質の低下は受注者はもとより恩恵を受けるはずの地域住民の生活の質の低下につながる。
なんせ手抜きをせざる理由は奇しくも発注者が作り出すのだから。
同じく低レベルな愚痴ですよね。
こういった発注者だからこそ受注者のやりやすいように言いくるめて主導権を握って仕事を進められるのでは?
それをやりきって一つの現場を完成させることがこの仕事の醍醐味と思いますが。
発注者に対しての口の聞き方一つにしても…。
さぞ仕事ができるんでしょうね。