3日工程の仕事を1日で終わらせる。楽しいのは私だけ?
施工 印象に残っている仕事は?
竹村 四日市市の阿倉川西富田線の再舗装工事です。1200平方メートル程度の小さな仕事でしたが、3日間の工程を1日24時間で仕上げました。現場代理人は別にいましたが、私がダンプのサイクルや人員配置を組みました。すべて予定通り、時間通りにバシッとはまりました。前の舗装を剥ぎ取って、地面を改良して、二層の舗装を1日で仕上げたわけです。心がワクワクした、一番楽しかった仕事です。
施工 現場代理人ではなかったのに?
竹村 ここぞという現場では、私が工程を組むんです。儲かるようにするためです(笑)。もちろん役所とは、3日間の工程を1日で終わらせるための交渉はします。1日で終われば、人件費、トラック、重機の費用なども当初の3分の1で済みますから。これという現場は、思いっきりやります。
施工 儲かる以外の理由は?
竹村 限界への挑戦です(笑)。現場では、うちの社員のほか、さまざまな協力会社さんが関わります。工事に関わるすべての人間に対して、1日で終わらせる説明をし、それを理解してもらわないと、ムリです。ちょっとの工程ミスも許されませんから。チームで限界に挑んで、それを達成するのがすごく楽しいです。
あとは役所の評定点数ですね。四日市市の現場では80点以上はなかなか出ない上に、舗装の現場は書類が少なく、さらに点数が出ないんです。そんな中でも、79点とりました。私は、役所ともチームを組んだつもりで、やっていました。
施工 楽しいのは竹村社長だけ、ということはないですか?
竹村 楽しいのは私だけだと思います(笑)。他の人間は、スコップを支えにして寝ていたりします。毎年雪の中の現場ですし(笑)。吹雪いて吹雪いて、もう(笑)。
施工 会社の技術者は何名?
竹村 12名です。1級土木施工管理技士などの有資格者は5名ほどで、社員全体では24名です。
民間企業を攻めないと、公共だけではこれから食えない
施工 四日市市の仕事が多いんですか?
竹村 東邦ガス、クロネコヤマト、コンビナートなど民間の仕事が6割です。公共の仕事は、四日市市のほか、いなべ市、三重県などです。舗装屋で、民間の仕事が多いのは珍しいと思います。普通8割が公共の仕事という感じなので。
われわれのような会社は、どんどん民間企業を攻めていかないと、これから食えなくなります。公共だけでは仕事量が安定しないので、その隙間を民間の仕事で埋めていかなければなりません。われわれは、舗装屋と言うより、「よろず屋」です。舗装の仕事でお世話になったお客さんに対しては、なんでもやります。ネコキャッチャー、シャワーヘッドの交換、草刈りなんかもやります。トマトやイチゴも栽培しています(笑)。
民間企業を相手にするのは、営業力と言うか、人間力、対人能力が必要です。相手とちゃんと付き合わないと、仕事が取れなんです。私としては、最近、その部分を強化しているつもりです。その一方、一度お仕事をした民間企業は、ほぼほぼリピーターになってくれます。それは「なんでもやる」からです。「それは儲からないからできません」と断っていたら、二度と頼んでもらえないと思います。その分、サービス工事も多いです。身を削っています(笑)。でも、地域建設業は「持ちつ持たれつ」ですからね。