三井不動産と建築分野で連携したイスラエルのドロノミー社とは?
さまざまなビジネスの可能性を模索している三井不動産だが、建設分野ではまずドロノミー社との協業にターゲットをあてた。
ドロノミーはイスラエル軍のドローン研究者や測量部隊の司令官などを務めたトップエンジニアが2015年に立ち上げたベンチャー企業だ。イスラエルに本社をおき、アメリカ、日本などでビジネスを展開している。
ベンチャー共創事業部とドロノミーの接点について能登谷主事はこう話す。
「三井不動産はグローバル・ブレイン社とパートナーを組み、50億円規模のファンドとして、共同でCVCファンド設立しました。そのグローバル・ブレイン社がドロノミーを紹介してくれたことがきっかけです。」(能登谷主事)
ドロノミーの技術の特徴は、主に次の3点だ。
- 建物に沿った飛行ルート設定が可能な高精度の自律飛行技術
- 飛行ルート設定、撮影、3Dモデルの作成までをワンストップで対応するソフトウェア
- 連続カメラ撮影による誤差が1cm程度の3Dデータの作成が可能
では、なぜドローンなのか?
「今後、建設業界では建設技術者や技能者の確保が、人口動態から見ても確実に困難になります。そのため国土交通省は生産性向上を目指し、i-Constructionを進めていますが、これは土木分野の話で三井不動産の事業とは、やや距離感があります。
まず、三井不動産と近しい建築分野での生産性向上を考えた場合、ロボット化による省力化、ドローンによる省人化がベストだろうと結論づけました。」(能登谷主事)
Google Chromeで発注者とゼネコンがドローンの3Dデータを共有
2017年7月、ドローンの実証実験を行った場所は、三井不動産が再開発組合の一員として建設中の「日本橋室町3丁目地区第一種再開発事業A地区」の建設現場。施工は、鹿島・清水建設・佐藤工業JVが担当している。
ベンチャー企業に実証実験の場を提供できるのも、三井不動産の支援の強みだ。
実証実験では、ドローンで取得した写真データから3次元モデルを作成。計測・取得したデータはクラウド上で管理され、発注者・施工者間での情報共有が容易になる。工事進捗管理、建物検査のほか、各業務の効率化、人件費削減、安全管理の向上に効果が見込めるという。
ドロノミー社は今後、ゼネコンをターゲットに工事管理業務のサービス提供を模索していく。
「ドロノミーのサービスでは、撮影した写真を3Dモデルで見る場合、CADなどの特殊ソフトを導入する必要はありません。Google Chromeで発注者とゼネコンが情報共有できます。」(能登谷主事)
ドロノミー社のソフトウェアは操作も容易だ。ホビー用のドローンを飛ばした経験があれば、誰でも操作は可能だという。また、航路を一度設定しておけば2回目以降は再設定無で同じルートを自動飛行できる。