「意趣返し」で難癖つけられ、評価点数を下げられる
――宮村さん、土木の魅力などを。
宮村 いろいろな人と関われるのが土木の仕事の魅力ですね。業者さんや地域の人などとのふれあいの機会がすごく多いです。私は、道路工事の経験が多いのですが、「いつもご苦労さん」と声を掛けてもらったりしました。そういった経験を通して、コミュニケーション能力が身についてきたと感じています。
失敗はいっぱいしてきました。構造物の高さ間違いもしました。若いときは、あまりチェックをしていなかったからです。最近ですと、私が現場代理人をしていた舗装の維持修繕の現場で、発注者である監督職員さんと良い関係が築けなくて、すごく低い評価を受けたことがありました。現場の仕上がりとしては、自分としては最高の出来だったのですが、発注者の評価はすごく低かったです。いろいろと難癖をつけられて(笑)、すごく低い点数を付けられました。
――何点?
宮村 70点でした。
――監督職員さんとはどういうやりとりがあったのですか?
宮村 区画線の施工に際し、こういう手順でする必要があるという協議を監督職員さんに出したのですが、その職員さんは役所に入って1年目の方で、協議の内容がわからなかったんです。何度も説明したのですが、理解してもらえませんでした。今では、私の説明が悪かったと後悔していますが、何度も説明しているうちに、つい強い口調になってしまいました。
西田副社長 どんな口調?
宮村 「だっから、なんでわかれへんのですかっ!」みたいな(笑)。
――区画線の施工?
宮村 イボイボのある区画線の施工です。通常、普通の区画線の上にイボイボをつけるのですが、積算上はイボイボの部分しか計上されていません。そのことを説明したかったのですが、なかなか伝わらなかったんです。職員さんの経験不足と、施工手順があまり知られていなかったことが原因だと思います。
――職員さんは「なんでそんなことする必要があんの?」みたいな?
宮村 そうです。なぜこんなに低い点数なのか質問しましたが、「協議がうまくいかなかった」からとか、「交通渋滞が起こった」からという回答でした。
――多くを学べたのでは?
宮村 そうですね。それ以来、言葉使いには注意するようになりました(笑)。
「想像力ではなく、発想力を持った技術者」になりたい
――良い技術者とは?
福井 私は、「想像力ではなく、発想力を持った技術者」になりたいと考えてきました。想像力は、ぼんやりとしたものなので誰でもできますが、発想力は、現実に前に向かって進む力なので、誰にでもできることではないと考えるからです。ICTなどの新しい技術も、人から聞くだけではなく、実際に動かしてみて、自分のものにして発想するのが、良い技術者だと思います。
――若手の育成に関しては?
福井 西田工業では、土木に関しては「5年間で一人前にしよう」という考えで、人を育てています。「一人前」とは、一人で現場を持つ、品質、安全、工程、原価を一人で持てる人材という意味です。上司である本部長と私で、月に1回、新人社員と意見交換を行っています。
「どうや?現場うまいこといっとるか?」みたいな話し合いをしています。その中で、「今、この子病んどるで」といった情報を先輩社員などに伝えたりして、改善策を講じたりしています。20歳ぐらいの子は、私の子どもみたいな年齢なので、意識していないと、ついついコミュニケーションが不足しがちです。ふだんから、なるべく話しかけるようにしています。
宮村 私は、人とは違う視点で、ものがつくれたらという思いを持っています。ありきたりなことばかりやるのではなく、常に創意工夫して、ちょっと変わった視点でやれるようになりたいですね。下請けの業者さんに「宮村さんの現場ならぜひ行きたい」と言われるような、信頼される技術者になりたいですね。
――発注者に対してはどうですか?
宮村 (笑)。「これぐらいの変更工事をお願いできるかな?」とか、発注者から頼まれるような技術者を目指します。
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