技能労働者の賃金水準確保を要望
「週休2日を前提とした技能労働者の賃金水準の確保」については、「建設業の技能労働者の賃金は製造業と比較して安い。休みを率先して取らせていく方向であれば、ぜひ官積算でも見合う賃金にして欲しい」と東京建設業協会は述べた。
技能労働者は日給月給のため、週休2日が実現すればその分賃金が減少する。しかも技能労働者は今後、10年間で約110万人離職するとの予測もある。建設技術者のみならず技能労働者確保も喫緊の課題でもある。そこで単価を現在の6/5倍に見直して欲しいと要望した点も注目点だ。

仲田裕一・入札監視委員会制度部会委員
終盤、仲田裕一・入札監視委員会制度部会委員は、「魅力ある工事とはどのようなものか?」と東京建設業協会に質問した。
これに対して東京建設業協会は「適切な利益が確保でき、工期については働き方改革も推進した上で発注者が余裕を持たせ、リスクが潜む工事であれば、予定価格の際に配慮してくれる工事です」と回答。
ここで驚くべきことに、東京建設業協会の伊藤寬治副会長が人気のない工事に言及した。
伊藤寬治副会長は、人気がない工事について「工事費用が安い」「工期が短い」「工事が難しい」の3点をあげ、「それを補うのが入札制度のきめ細やかさ、多様性であり、画一的に突然、一方的に入札制度を決められるのが一番辛い。東京都のみなさんと意見交換をすることによって、よりよい多様性のある入札制度ができればいいと思う」と語った。この発言は、入札制度改革試行案を突然断行した「内部統制プロジェクトチーム」に対する皮肉とも言える。
会議終了直前、東京建設業協会の飯塚会長は「最近災害が増えていますが対応するのは建設業界です。会員企業の経営基盤の安定が必要です。中長期的な将来に備えて改善をしていきたい。その一つとして休みの確保や単価のお願いをしつつも、われわれも生産性向上で努力をしていますので、東京都の皆様には是非ご理解をお願いしたい」との発言で締めた。
一方、発注者側を代表して、小室部長も「制度と運用の双方で現場を担う立場の皆さんから貴重な意見を聞けた。よりよい制度設計にしていきたい」と東京建設業協会に謝辞を述べた。
大手と中小の会員企業から構成される東京建設業協会には、さまざまな意見がある。今回の意見交換では、きめ細やかな実態把握と検証を東京都に求める、中小建設企業のホンネが相次いだと言えよう。
この意見交換に続いて、次は「東京中小建設業協会(都中建)」との意見交換が行われたが、東京建設業協会よりもさらに辛辣な意見が飛び出した。入札監視委員会制度部会委員の一人が「都中建の意見が最も厳しかった」と吐露したほどだ。
東京中小建設業協会(都中建)の意見に関する記事は、コチラ。