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土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー 連載:土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー 連載一覧へ›

権威主義にウンザリした元ナビタイムIT技術者が、あえて土木で起業するワケ

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公開日:2018.03.15 / 最終更新日:2018.10.19
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土木は意思決定が超遅い

――IT業界と土木業界ってどんなところが違いますか。

太田 全然違いますね。重さっていうか。35歳で定年を迎えかねないIT業界と、基本的に60歳まで同じ仕事をする土木業界では、3倍くらい違うと思うんですよ。スピード感というか、意思決定が超遅い。稟議で20個スタンプラリーするなんて信じられないですよ。15分社長にアポを取るだけですからね。今は起業して自分に決定権があるので、更にですね。
ナビタイム時代は50件くらい案件を持っていたんです。50件くらいないと、向こうの意思決定のペースと合わなくて。

――土木はどんなところが遅いですか。

太田 何かを変える、やるって意思決定が相当に遅いと。現場のルーチンはどんどん自動化されるので、そういう決めることが人間の仕事になっていくわけですね。市場をつくるとか。そういった人間すべきことがとにかく遅いですね。
色々な土木技術者の方とお話する機会があるので、色々と意見交換をして、いいですねってところまでは行くんですが、いざ実行に移そうとすると「でもうち調査課なんで…」って言われちゃうんですね。でも別の子会社が、でもいろんなルールが、でも利益を上げてもダメだからとか。

――意思決定に時間がかかることと、縦割り組織は課題ですね。土木業界でいいサイクルを回すのは難しいですか。

太田 今は壁を可視化するところからだと思いますね。何か行き詰った時に、壁に名前をつけるようにしているんです。部署間の壁とか。問題に名前を付けてイシュー化することですね。

今、そういうのがみんな泣き寝入りになっちゃっているんですよね。言語化して喋って良い空気にする。誰が悪いっていうのじゃなくて、言うなら歴史が悪いってことですから。一緒に良くしていこうって、固定観念をなくそうって言い合えればいいんですよね。

土木に関しては、面白さとは別の軸があると思っています。皆さん、とても利他的なんですよ。土木の人って皆良い人なんですよね。IT業界によくある「俺俺」ではなくて、世の中のために良くしたいってところですね。名前もどんどん出せばいいと思います。現場の一つ一つの取り組みでもなんでも。誇れる仕事をしているなら名前を出していいはずですよね。

――縁の下の力持ちに美学を感じている人が多いんですよね。

太田 そこはもうちょっとイケイケに寄ってもいいと思いますね。

土木にはもっと大きな仕事がある。その仕組みを考えよう!

――太田さんの交通を良くしたいって気持ちはどこから出てくるんですか。

太田 なんか問題があると直したくなっちゃうんですよね。で、あれこれ考えているうちに次第に「何でなんだ!」って怒りに変わっちゃう。やれば出来る課題が放置されていると、直さずにいられない。

――土木の若手って安定志向が多いので、そういった考えの方は珍しいですよね。土木の若手に言いたいことはありますか?

太田 うかうかしていると仕事がなくなっちゃいますよ。同じ仕事が30年後にもあるはずがないんです。生き残るというか、おまんまの食い上げになっちゃいます。同じことをやっていることへの危機感を持った方がいいですよね。
わからないこと、誰もやっていないことに楽しみを見出してほしいと思います。一度やってみたら面白いってわかるはずなんですよ。今、若手を口説いているところなんです。それこそ、コテコテの路線バス会社に行って、そのダイヤ編集担当の若手と週1くらいでやり取りしているんですよ。

――そういう若手にもやる気の芽がありますか。

太田 ありますね。みんな3年くらい経つと、結構会社の常識に早く染まっちゃうんですけど。でも仕事をやっていると何かしら疑問を感じることがありますよね。それが言語化できないだけなんです。偉い人に言うのが怖いと感じて小さくなってしまっている。
でも、それでは楽しくないはずなんですよ。せっかくやるんだったらいいサービスを提供したいじゃないですか。みんなに喜ばれるサービスを作りましょうよ、と言って回っているんですよね。

――すごいですね。太田さんの会社に入りたくなりました。どんな人材が会社に欲しいですか。

太田 社会に必要とされるものを頑張って作りたい人ですね。熱意と、スキルも当然必要です。サービスを具体的に作らないといけないんで。でも、スキルは完璧じゃなくてもいいんですよ。世に出す時に完璧である必要はないと思っています。あと、お客さんを呼び込める能力ですね。私が独立できたのもそれなので。
よく考えることですね。今、目の前でお客さんが色々言っているけど、本当に必要なものはこっちじゃないですか?と言えること。見出して、提案して、誘導できる。

――それは、かなりのスキルが必要ですね。

太田 これはandでなくてorでいいと思うんですよ。私が隙間を埋めるので。現実は変えられると思って変えていきませんか。今のまま、狭い中で仕事をしていて楽しいですかって。

――今の土木が狭いとしたら、どこに広がっていくと思いますか?

太田 オペレーションですかね。今まで土木って作ることを中心に産業が成立してきたと思うんです。でももうこれからの時代は無理な話です。賢く使うって話もありますけど、そういう考え方になりきれてはいないですよね。まだ、供給ありきの考え方になっている。

今、業界の中でも分断されていて、鉄道なんかは15年に一度どーんと計画が出ますけど、15年も放っておいていいのって話です。作った後は事業者の問題になってしまうし。本当はもっとディベロップメントとオペレーションって一体であるべきだと思うんですよ。IT業界では、システムを作る人と、運用・展開していく人が、両方の都合を考えながら協力して進めています。それが今の土木にはない。

それぞれの島の中で仕事しているとそうなってしまいますけど、本当はもっと大きな仕事があると思うんですよ。土木のスキームって戦前そのまんまなんですよね。そのまんまの中で動くんじゃなくて、新しい仕組みを考えようと。だから政治も必要だと思いますね、もしかしたら私もそちらに行くかもしれないですね。

~後記~ 土木学会若手パワーアップ委員会

土木は良くも悪くも「経験工学」です。若手の意見は職場で通りにくいし、そんな組織の中で若手がひとりで戦うのはとても難しい。

だからと言って、じっと耐えて待つのが土木屋としての美徳でしょうか。私たちも若いつもりで、いつの間にか「権威主義」の側になって思考停止してしまうのが怖くないですか。

私たちが今やっている仕事は、確かに30年後になくなっているかもしれません。逆に、今うんざりしている仕事を私たちは30年先の若手のためになくすことが出来るでしょうか。30年後の土木が変わっているかどうかは、今の私たち次第です。

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仕事が辛いのは、あなただけの問題じゃない!「土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー」
落盤事故で土木を辞めた息子と、一人親方だった父親の話
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この連載について

土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー
土木辞めた人、戻ってきた人インタビュー

せっかく土木の世界に入ったのに辞めてしまう人達の退職理由から、今の土木業界の課題を洗い出せるのではないか?ーーそんな考えから「土木学会若手パワーアップ小委員会」は、土木を辞めた人へのインタビューをおこなっています。

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この記事を書いた人

土木学会若手パワーアップ小委員会
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土木学会100周年を受けて活動を開始した、発足3年目の若い委員会です。 若手同士の技術的な課題共有から、産官学連携、働き方、土木の魅力の伝え方など、各委員が自らの課題認識と好奇心に基づいて多岐にわたって活動しています。
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コメント(1)

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  • - 2025/03/17 8:43

    内容が耳に入ってこない。線形和ってなによ?
    輸入とかって間違ってませんか?意味が分かりませんよ。

    返信する 通報する

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