岡山県、和歌山県から「なでしこBC連携」に参加する狙い
湯浅 奥野組さんは、岡山県で建設業の連携に取り組んでおり、徳島県での連携と併せ、それぞれの取り組みに関わっています。岡山と徳島の取り組みの違いは?
奥野 岡山では、県振興財団の方で平成24年からBCPの勉強会を開いてきました。この勉強会の中で、業種関係なく、ネットワークをつくろうということになって、岡山の会社だけでなく、仙台や島根などの会社にも参加してもらい、全国に広げていくことになっています。
当社がなでしこBC連携に参加したきっかけは、平成27年10月に井上組さんが駄菓子を販売しているのを知って、井上組さんを訪問したのがきっかけです。同じ月には、すでになでしこBC連携に参加していました。「顔の見える会社間の連携」は良いと考えたからです。昨年夏には、行政を巻き込んだ演習を実施されましたが、非常に画期的で、価値のある活動だと感じました。実際の演習を見学しましたが、驚きました。
ただ、岡山県の建設業については、連携がうまくできておらず、連携チームは立ち上がっていません。岡山県でもなでしこBC連携のような取り組みを導入したいと、あこがれのような、うらやましいという気持ちを持っています。
湯浅 NAO企画は最近、新たに参加されました。
佐野 当社(NAO企画)が初めてなでしこBC連携に参加したのは、丸山組さんの現場でパトロールを実施したときでした。丸山組さんから「良かったら、参加しない?」と声をかけられての参加でした。当社には、女性は私だけしかいないので、仕事の悩みなどを相談する相手がいませんでした。なでしこBC連携に参加してから、女性同士で集まれる場ができたことによって、仕事をするのが心地良くなった実感があります。
なでしこBC連携に参加する前は、当社では、BCPに関する取り組みは遅れていました。なにか問題が起こっても、だれがどこにいるかもわからず、連絡すらとれないような状態でした。なでしこBC連携の活動を通じて、少しずつ会社が変わってきたと感じています。
湯浅 エスビーシーさんも最近参加されましたね。
木村 徳島県は、災害による被害の形態が地域によって異なります。いろいろな場所に立地する企業が協力態勢をとるなでしこBC連携の取り組みは、非常に有意義だと考え、参加しました。
徳島県はBCPに積極的に取り組んでいる自治体であり、建設業でも早い段階でBCPをつくっています。当社でもBCPをつくって、毎年見直しをかけていたのですが、やはり1社だけでやっていると、見直しのときに想定されるものが限られてきます。アイデアが湧いてこないんですね。なでしこBC連携を通じて、いろいろな会社と情報共有していくと、より柔軟性の高いBCPにできるのではないか、ということを期待しています。
国土交通省も期待する「なでしこBC連携」の防災力強化
湯浅 新しい仲間が加わることで、より多様性を持った活動ができるようになると思います。行政、発注者の方では、なでしこBC連携をどう見ていますか?
青木 私がなでしこBC連携に関わったのは、平成26年度末に福井組の現場で実施されたパトロールで、当時の女性職員がパトロールに参加しました。
行政、発注者という立場から言えば、災害が発生したときには、地元の建設会社の協力は不可欠です。建設会社の方々が連携し、防災力を高めるなでしこBC連携のような取り組みは、非常に助かる、ありがたいことだと考えています。それぞれの地域の建設会社が個々の弱点を認識してもらって、日々の訓練などを通して、弱点を克服する活動に対しては、今後も継続していくことを期待しています。
湯浅 個々の会社の弱いところを連携してカバーしようというのが、まさに、なでしこBC連携のねらいですね。
板倉 私は平成29年4月に徳島に着任したばかりです。なでしこBC連携には、道路啓開に参加したのが最初で、なでしこパトロールにも参加しました。
建設業界は男性の職場なので、その中で働く女性の尽きない悩みはいっぱいあると思います。そういった悩みを共有し、解決していくほか、ゼネコンの方々やコンサルの方々がどういうふうな取り組みをすれば、災害などに安全、迅速に対応できるのかということを話し合えるということは、画期的なことだと思います。新人である自分自身の勉強にもなるので、ありがたいことだと感じています。