「家庭・企業・地域の防災」という視点で、BCPに厚みを
湯浅 今後のなでしこBC連携の展開について、期待することなどをお話いただけますか?
根来 なでしこBC連携のBCは、事業継続ですが、われわれ建設業に要求されていることは、災害時の対応と早期の復旧がメインになってくると思います。防災という視点から、建設業にないが求められるのかということなどについて、勉強会を開いて、情報を共有し、理解を深めていければと思っています。
例えば、家庭の防災、企業の防災、地域の防災という視点を入れて、自社にフィードバックするということができれば、厚みのあるBCPになると思っています。なでしこBC連携の中から、防災の専門家が出てくることを期待しています。
湯浅 女性目線に立った防災の専門家の誕生は、私も期待するところです。
笠岡 私は「働き方改革」や「ICT」についても情報交換し、お互い切磋琢磨していけたらと思っています。
湯浅 労働環境を整えていかないと、会社としても長く続いていきません。建設業界は人手不足なので、非常に大きな課題だと思いますが、この課題も1社だけでなく、連携して解決策を見出していく試みは必要だと思います。
木村 「働き方改革」はこれから大きな課題になってくると思います。働く人がいてこその会社であり、地域であり、防災なので、特に女性が安心して働ける環境づくりは、考えていく必要があると思います。建設業には、どうしても男性目線で会社を運営している会社が多いわけですが、こういった場で議論しながら、女性が活躍できる環境づくりを進めていければと思っています。
なでしこBC連携を「地域建設業界の活性化」にもつなげていく
湯浅 大竹組さんは、いかがですか?
喜井 なでしこBC連携をずっと続けていくことが大事だと思っています。女性目線のパトロールを実施してきていますが、パトロールの結果、どう改善されたかなどの結果がはっきり見えません。パトロールのやり方を変えるとか、事故を少なくするためにパトロールするという意識付け、テコ入れをする必要があると感じています。
建設業で働きたい、という人自体が少ないという現状があります。大竹組では、小学生に対して「建設業とはなにか」について教えたり、現場見学会を開いています。なでしこBC連携のメンバーの女性の方が小学校に行って、特に女の子に建設業を宣伝してもらえると、今までにはないアピールになるのではと思っています。
湯浅 なでしこBC連携の活動を続けていくためには、きっちり成果を出す必要があるというのは、おっしゃる通りだと思います。小学生にアピールする取り組みについては、地元に根づいた企業となるためにも、素晴らしい取り組みだと思います。他社でも実践してもらいたいと思います。
板倉 建設業での人材確保という意味では、これから進路を決めようとしている高校生や大学生へのアピールが非常に重要だと思います。女性が働きやすい業界になるということは、男性にとっても働きやすい業界になることです。なでしこBC連携には、引き続き、女性目線に立って様々な活動を行い、建設業界を活性化につなげていくことを期待しています。私も、そのために努力していきたいと思っています。
湯浅 職場環境の改善には、女性だけでなく、男性の力も必要です。その辺の話も今後共有していければと思います。
なでしこパトロールは、従来のパトロールと違う
湯浅 四国地整さんはいかがでしょうか?
青木 現場で一番気にしなければならないのは、安全です。安全対策として、一般的な取り組みはパトロールですが、どうしてもマンネリ化、定例化してしまうところがあります。流れ作業で、機械的にチェックシートをはじくだけとか、そういう傾向になりがちです。その点、なでしこパトロールは、従来のパトロールにはない視点で点検できるので、スゴイと思いました。
安全パトロールは、経験のあるベテランが行うからよく見えるということはありますが、いろいろな視点で見るということも大事だと思います。女性の視点で点検するという、なでしこBC連携のパトロールには期待しています。
男性が当たり前だと思っている現場環境が女性にはマッチしないのは、ある意味当然です。それが改善されない以上、現場に女性が増えることはありえません。なでしこBC連携には、女性にマッチした現場環境づくりのためにはどうすれば良いのかについて、パトロールなどを通じて、いろいろと意見をいただければと思っています。
湯浅 パトロールのレベルを上げることによって、現場の品質が上がったり、業務が効率化されたりということはあると思います。メンバーの方々には、パトロールの方法などについて、今後もいろいろと議論していただきたいと思います。
発注者には聞けない情報も、メンバー同士でアドバイス
佐野 当社(NAO企画)は測量会社ですが、なでしこBC連携では、測量会社だからこそできることを考えていきたいと思っています。今後、その辺のところについて、いろいろとアドバイスいただければと思っています。
湯浅 災害時になにをすれば良いかについては、発注者に聞くのが一番早いのですが、実際はハードルが高くて、なかなか聞けないということがあると思います。その点、なでしこBC連携のメンバーであれば、聞きやすいと思うので、この場を積極的に活用してもらえればと思います。
奥野 当社(奥野組)は少人数で、少数精鋭と言えば聞こえば良いのですが、なんでも一人でできるスーパーマンを育てようという目標を立てて、やってきた会社でした。スーパーマン達も年を取って、能力が落ちてきています。家庭の問題で会社を休みたいと思っても、一人で仕事を抱えているので、休めないということも起こっています。そんな会社に、若い人が来るはずもありません。来たとしても、スーパーマンとして育てようとするので、おそらく音を上げてしまうでしょう。
奥野組では今、仕事の細分化に取り組んでおり、分けた仕事をやってくれる人を探しているところです。メンバーの方々には、その辺の取り組みについて、いろいろとアドバイスいただければと思っています。
湯浅 人材育成は、奥野組に限らず、どの会社にとっても課題だと思うので、分科会なりで話し合う機会を持っていただきたいと思います。岡山県の方でも連携ネットワークができれば、地域間で解決できる課題もあると思うので、その点、私の方からも奥野組に期待しています。
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