お金をかけられないなら、講習の質を上げていくしかない
一方で、技士会を必要とする声もある。「中小企業の場合、新しい技術の勉強や新人の育成になかなか手が回らない」(奥野社長)現状があるからだ。中小零細企業では、技術者同士の交流の機会も限られ、刺激を受ける機会も少ない。「研修などを通して、他の技術者から刺激を受けられる場をもっと広げていって欲しい」(石田常務)と期待を寄せる。

福本健治・岡山県土木施工管理技士会副会長(株式会社大本組土木本部執行役員副本部長・土木部長)
この他にも、技士会に対して、会員からは「意見交換会を開いて欲しい」など、様々な要望が寄せられている。しかし、先立つものが限られている以上、次の展開への一歩を踏み出せないジレンマがある。
「お金をかけられないなら、講習そのものの質を上げていくしかない」(山崎事務局長)ということで、技士会は平成30年2月、国土交通省の「中小・中堅建設企業等の建設リカレント教育等支援事業」に応募。中堅技術者向け講座の提案が採択された。これにより、年間60万円の支援が得られる。
応募を巡っては、技士会内で少々紛糾した。山崎事務局長が「応募しても良いですか?」と聞いたところ、「じゃあ、イチかバチか」という気持ちで応募したところ、見事採択に至った。平成30年から、技士資格のない準会員枠を設ける。施工管理技士を目指す人の取り込みを狙った措置だ。高校生を対象にした受験対策講習も実施している。「技士試験に通ったら、会員になってね」という思いがある。
どこの技士会も経営的に厳しい、手探り状態

前列左から、草地三陽・岡山県土木施工管理技士会長(アイサワ工業株式会社専務取締役土木本部副本部長)、山崎博美・同事務局長、福本健治・同副会長(株式会社大本組土木本部執行役員副本部長・土木部長)、後列左から、中塚孝二・同企画運営委員(アイサワ工業株式会社土木本部購買部長)、石田篤史・株式会社イシダ工務店常務取締役、奥田一三・株式会社奥田組代表取締役社長、浜田利彦・岡山県土木施工管理技士会企画運営委員(株式会社大本組土木本部土木企画部長)※平成30年3月時点
「岡山に限らず、どこの技士会も経営的には厳しいところばかりだと思う。みんな手探りの状態。何か仕掛けなければ、何も変わらないという思いで、日々の仕事に取り組んでいる」(山崎事務局長)と心情を明かす。
「私は、いつも男性の中に1人。出張に出て、夜飲みに行くのも1人。以前は、どうしようと悩むこともあったが、やっているうちに、どんどん強くなっちゃった(笑)。今ではこうしたいと思ったことは、ドンドン行動させてもらっている」(山崎事務局長)。
ただ、事務局長一人のチカラでは限界がある。そのためにはまず、「技士会がなにをするか」ではなく、「一人ひとりの会員が技士会のためになにができるか」という意識変化が必要だ。
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