クレーン船とお酒「海底熟成酒」
――魚礁を沈めた250t吊クレーン船「第10河市号」など、船の維持は大変?
河津 河津建設の自社船は先日まで、東日本大震災の港湾工事の復旧・復興工事で活躍していました。昔に比べたら港湾工事量は半減しているので、船の維持はランニングコストを考えると大変です。稼働率が安定するほどの仕事量が欲しい、というのが本音です。
——船で建設以外の面白い取り組みをされていると聞きました。
河津 船で焼酎、日本酒、ワインなどを海に沈めて「海底熟成酒」というのを作りました。通常のお酒よりもまろやかになるようです。多くの方々から「違いがある」、ソムリエからも「まろやかになる」とご評価いただいています。今は、試験的に実施していて、お酒で商売するためよりも、PR活動のツールとしてお得意さんや地域のイベントで振る舞っています。先日、3月18日の「よさこいフェスティバル in 下田」でも試飲会で熟成前後のお酒を飲み比べていただきました。
老舗建設会社、河津建設の技術伝承
——河津建設は創業1914年の老舗建設会社ですが、どんな若手技術者が求められていますか?
河津 自分で先のことを考えて、課題を解決できる、提案・行動できる技術者だと思います。もちろん資格も重要です。公共工事、民間工事を問わず、1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士の必要性はますます高まっています。
私も社内の若手向けの勉強会では、特に資格取得でのポイントを教えています。また、私自身、大手ゼネコンの鹿島建設で働いた経験があり、技術士の資格を保有しているので、現場での心構えや安全管理などに関しても指導しています。ノウハウと経験が豊富なベテランと対話する機会を設けており、そこでベテラン社員から若手社員への技術の伝承を行っています。
——河津建設ならではの伝承とは?
河津 たとえば、地域建設企業の使命の一つに地域の防災があります。もし災害が発生したら、河津建設の技術者は若手からベテランまで、いつでも復旧・復興工事に乗り出せる体制を整えています。最近この辺で大災害はないですが、伊豆大島の台風で被害が大きかった際は、河津建設も復旧・復興工事に携わりました。そういう経験をもとに、若手技術者に教訓を伝えています。技術者も重機も維持するためには、会社が元気でないといけません。河津建設は地域に貢献しつつ、次の100年の歴史を歩んでいきたいです。
——若手技術者の都市部への流出については?
河津 これは河津建設だけではなく、地域の建設会社に就職する若手が減ると地方はますます衰退します。一度は東京に出るのもいいですが、就職は地元でして欲しいと願っています。今回開催した「魚のすみか魚礁見学会」のようなイベントに参加したお子さんたちが、大人になっても「建設業が好き」と言って、地元の建設会社に就職してもらえるよう、イベントや情報発信も大事だと実感しているところです。若い人達に魅力ある地域や建設業になるよう、今後も元気に明るく前向きに取り組んでいきます。

河津建設 本社ビル
河津建設の本社ビルには「世紀を超えて創業100周年」の文字が燦然と輝いている。創業当時の理念は「信頼を目指し、感謝を忘れず」。現在の社員数は約90名で、土木、建築、港湾工事に強い。品質管理の国際標準「ISO9001」を認証取得しているほか、2017年には静岡県から「静岡県次世代育成支援企業」の認証も受けた。河津建設の先進的な取り組みに期待しよう。
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