是正を繰り返した建設工事計画届
私はまず、厚生労働省(労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室)に問い合わせると、次のようなポイントを指示されました。
- 協力業者の選定及び決定した上での計画
- 現地照査の上、具体的な仮設計画の作成
- ケーソン基礎施工まわりの土質の把握(硬度やガスの有無)
上記を踏まえて建設工事計画届を作成した後、「大臣申請」の経験のある施工業者と一緒に、はるばる九州から東京の厚生労働省まで出向きましたが、技術審査官からは再度、下記の修正・指示を受けました。
- 高気圧の有識者から意見の徴集を!特に減圧症について!
- 現場単独での対応をせず、会社全体としての対応姿勢を!
これを受け、私は某大学教授を訪問し、会社全体体制との専門委員会を開催。ケーソン経験者による社内組織を構築するため、東京本社を訪れました。
そうした対策を講じて、九州の現場に戻ってから約20日後、建設工事計画書と社内組織の構築が完了し、再び厚生労働省へ書類を持参しました。
しかし、技術審査官からは「工事関係者への人命に係ること」を重点とした、法ルール中心についての色々な質問が多く、それらを理解していたはずの現場責任者の私でしたが、終始しどろもどろでした。
結局、何度となく技術審査官や有識者のもとに出向く悪戦苦闘の日々で、私を中心とした現場だけの対応では無理と判断し、対応起点を東京本社に移し、知識のある先輩方の指示・対応を仰ぐことにしました。
先が見えず、私は鬱状態。是正、是正の連続で最終受理、計画届表紙に「日付入りゴム丸印」をもらうまでに約3ヶ月も経過しました。工事実働までがかなり長かったです。
安全に関して知識があると思っていた私でしたが、この現場では、人命尊重のため、通常以上の安全管理の知識が必要であることを身にしみて感じました。
今後、土木技術が進歩するにつれ、超大規模土木工事の「建設工事計画届」が必要な現場が増えると思いますが、土木技術者には、法的知識も必須であり、決して「土木は馬鹿では務まらない」ことを改めて痛感した次第です。
ケーソン工事だけでなく、この種の工事を対応される方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。