施工能力審査型の問題点
では、施工能力審査型総合評価方式のどこが問題なのか?
ずばり、「過去の工事成績」の部分である。
過去の工事成績とは簡潔に言うと、東京都発注の過去3年間のうち、直近3件が該当するのだが、東京都と言っても建設局、水道局、産業労働局など、さまざまな分野の公共工事がある。
これでは範囲が広すぎて、不良不適格企業とまではいかないが、仕事の減少などであまり得意分野ではない工事を落札する施工業者が出てきて、工事の品質低下を招く恐れがあると考える。
総合建設業の元請負会社として現場の経験がある技術者ならばわかると思うのだが、工事評定点の考え方はもちろんの事、実際に付く点数にも発注局によって乖離があるように感じる。
これは当然と言えば当然である。例えば、街中の水道工事と、山奥での治山工事を例に挙げる。
品質管理で言えば、治山工事では降雪の影響等気温がコンクリートに与える影響が著しいため、高度な知識と経験が求められるが、街中の水道工事ではそこまで気にする必要はない。
安全管理の側面から言えば、水道工事は街中での作業となるため、一般車両や第三者災害には最新の注意を払うし、企業独自の創意工夫も発揮しやすい。
逆に治山工事では、そもそも第三者対策事態が無い場合がほとんどである。
もちろん一例であり優劣をつけるものでは無いが、考え方や加点のしやすさなどで差は必ず出るのである。そもそも同じ目線で対象評価できるものではない。