内山建設(宮崎県日向市)が目指す地域建設業の姿
株式会社内山建設(宮崎県日向市)は、1955年に創業した地域建設業を営む会社。九州地方整備局や九州農政局、宮崎県などを中心に、地元宮崎で仕事を受注してきた。2005年には建築にも進出。民間受注にも力を入れている。
内山建設を率いるのが三代目の内山雅仁社長。元銀行マンで、家業を継いだ変わり種だ。数字に強い経営者として、財務状況の改善などに辣腕を振るかたわら、技術士(総合監理部門、建設部門)をはじめ、土木関係のさまざまな資格を取得する「資格マニア」という顔も持つ。
地域建設業の社長の役割、使命とはなにか。内山建設を今後、どのような会社にしていきたいか。話を聞いてきた。
建設業界に対する嫌悪感。華やかな業界への憧れ
三人兄弟の真ん中。兄がバリバリの土木技術者で、学生の時から父がやっている会社を継ぐ話になっていた。私はまったく関心がなかった。夏休みに現場アルバイトしたぐらい。兄はやる気満々だったが、私はイヤイヤ。建設業に対しては、むしろ嫌悪感があった。都会的で、キレイな仕事が良いなと。当時はバブルで、華やかな業界に憧れていた。当初は商社志望だったが、「商社と同じ仕事もある」と先輩に説得され、銀行に就職した。
ところが、大阪の梅田支店で順風満帆の銀行マン生活を送っていた内山さんに父親から「帰ってこい」と電話が入る。帰って何をするか全くの白紙状態。その時、頭をよぎったのは、優しい社員の作業員のおじちゃん、おばちゃん。「自分が帰らなければ、会社は廃業。おじちゃん、おばちゃんは職を失ってしまう」。決断まで2ヶ月かかったが、家業を継ぐことを受け入れる。人生の転機となった自身の決断について、「自分では気づいていなかったが、父に現場に連れて行かれた記憶があり、建設業に対する親近感のようなものがあったのかもしれない」と振り返る。