電力会社を設立し、その利益で町のインフラ改善
さらに別所社長は2年前、新電力会社の「南部だんだんエナジー」という会社の立ち上げに尽力する。筆頭株主は南部町。再生可能エネルギーの太陽光発電や水力発電で生まれた電力を購入し、公共施設や民間企業に電力を販売する会社だ。
「元々、南部町はメガソーラーを運営していました。これをもっと有効利用したいという思いと、里山の間伐材による木質バイオマス発電の振興を目的にスタートしました。契約者数も増えてきて、最近ようやく黒字になりました。今では町のほとんどの施設に供給しているのではないでしょうか。年間400~500万円程度の節減につながっています」。
環境に配慮しながら、町の出費の抑制も実現しているのだ。この利益は「町のインフラに還元したい」と別所社長は語る。「南部町は上水道が少し弱いところがあります。水道設備も古いですしね。使い方は自由だと思いますが、私個人としては町のインフラを良くするために利益を町民の皆様に還元したいという思いがあります」。
地域社会に恩返しする建設会社
これらの活動のほか、社有車を電気自動車に切り替えたり、アイドリングストップの意識を社員に徹底させたり、ティー・エム・エスは地道な活動も続けている。
「電気自動車はまだ一台だけですが、出始めの頃から導入しています。建築機械もハイブリッド仕様に順次切り替えていく方針です。夏場は熱中症の心配もあるので難しいところはありますが、アイドリングストップについては日頃からやかましく社員に伝えています」。
環境事業に積極的に取り組む理由について聞くと、別所社長は地元南部町への感謝を口にする。「誘致だったこともあって設立当初の3年間、税金を優遇していただいた感謝の気持ちがあります。それと南部町の方は思いやりがあって穏やかな人が多いし、子ども歌舞伎や青年団といった伝統文化もしっかり息づいているんです。そんな大切な地元の地域に微力ながら貢献したいという気持ちは強いですね」。
最後に夢を聞いてみると、別所社長はこう語ってくれた。「いつの日か木材を燃料以外の何かに使えるようにしてみたいですね」。ティー・エム・エスと別所社長の挑戦にこれからも注目だ。
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