モノスゴイもん見た。とにかく礒部組をマネするしかない!

高木伸也 有限会社高木建設社長
高木建設の高木社長は2年前のある日、高松市で開かれた「三方良しの公共事業推進カンファレンス」を聞きに行った。そこで登壇したのが礒部組の宮内軍団一行。
「高知の片田舎で実践するチーム礒部の三方良しの公共事業(この10年)」と題して、地域、発注者とのコミュニケーションに関する取り組みについての発表を行った。付き合いで参加した講演だったが、「隣りの高知県にこんな会社があったのか」と釘付けになる。
その風変わりな講演は「世の人は四国猿とぞ笑ふなる四国の猿の小猿ぞわれは」という正岡子規の短歌から始まる。公の場所で、地方の小さな建設業者が自社の手法をさらけ出し、「私たちのお客さんは住民です」と、飾ることもなく堂々としゃべる姿に圧倒される。

高松の「三方良しの公共事業推進カンファレンス」に登壇するチーム礒部
「多くの地域建設業者が忘れてしまっていることを突きつけられた気がした」「とにかく感動した。これはマネするしかない」――。高木社長は一言も聞き漏らすまいとする一方、モニターに映るスライド資料すべてを写真に収めた。
講演終了後、会社幹部に「モノスゴイもん見た。説明するから、みんな会社残っとけ」と指示。帰社後、夜遅くまで、ディスカッションを交わす。ある幹部は「高木社長は、発表資料を見せながら『ごっついぞ、この会社。俺らが生き残る道はこれしかない』などと興奮気味に話していた。ただ、多くの人間はピンと来ていなかった」と言う。
その後も興奮冷めやらぬ高木社長は、「『チーム礒部』をマネしよう!」と決意。ただ、思い定めたはいいが、手元にあるのは高松での事例発表スライドを撮った写真と、自分自身の感覚だけ。見よう見まねにもならぬなか、試行錯誤を続ける一方で、礒部組とコンタクトできるツテを探し続けた。
そして、ある時引っかかった。幹部連中を引き連れ、礒部組へ乗り込んだ。面談要件は、ズバリ「俺ら点数取りたいんですわ!点数のとり方を教えてください!」だった。
「当時は、どんなに頑張っても77点がマックスだった。社員には『点数をとれ』と言い続けていたが、具体的にどうすれば点数がとれるか、私自身わかっていなかった。金を使ってもとれなかった。点数がとれないと、仕事がとれない。非常に切羽詰まっていた」。地域建設業の経営者としてシリに火がついた状況。「なんとかこの状況を脱出しなければ。プライドなんか捨てろ」という思いが、高木社長を突き動かしていた。
小手先ではダメ。本気で地域、役所、検査官と向き合え!
ついに礒部組にたどり着いた高木軍団一行。重苦しい緊張感に包まれていた。「とにかく緊張していた」(高木社長)。そんな高木軍団に対する宮内部長の第一印象は「こいつら、ギラギラしちゅう(笑)」。その緊迫した感じにむしろ好感を持ったと言う。県外から訪ねてくる同業者はこれまでにも何社かあった。はるばる来ているのにもかかわらず、「エイカッコ」する人間が多かったからだ。高木軍団の醸し出す正直さと覚悟に心を打たれたことが、宮内部長の心を動かした。
「そんなに点数とりたいの?じゃあ、お手伝いしましょう」。初対面からわずかの時間で意気投合。レクチャーは朝に始まり、夕方まで続いた。レクチャーでは、点数シートを見ながら、「この場合はどうすれば良いですか、どんな資料があったら良いですか」という「メチャクチャ具体的な質問をされた」(宮内部長)と笑う。
高木社長がそのレクチャーから学び取ったのは「建前でなく本気で地域の住民と向き合う。業務をこなすためだけでなく、本気で役所の担当者と向き合うこと。点数を上げるためだけでなく、本気で検査官と向き合うこと。そして何より、本気で地域住民から求められる会社であろうとすること」だった。
高木社長は「評定点は、小手先の創意工夫ではなく、すべてに本気で向き合い地域の住民から求められる工事をすることの結果としてついてくるものだと教えてくれた」と振り返る。
小さい建設会社のものです。私も教えて欲しいです。
叩けよ、さらば開かれん (^_^)
ワイにも教えて
北海道開発局では検査時のプレゼンはダメだということになりました;;
地元企業から中堅ゼネコンを経てスーパーゼネコンで勤めているものです。地元企業は受注するために必死ですね。良い工事評定を得るため技術者のCPDS、創意工夫、社会貢献、記事にあるような本来不必要なプレゼン。自分も地元企業の時は一生懸命やっていましたが、今になって振り返ってみると、稚拙だったなとおもいます。
これも技術者の業務の一環なのかもしれませんが、技術力と言えるものか疑わしいものです。
技術士やコンクリート診断士など高度な資格を取得してより良いものづくりをする方が発注者のためではと思えてなりません。
自分の感覚では、大手になればなるほど工事評定は気にしていないようです。
中堅ゼネコンの頃までは創意工夫やCPDSも会社ぐるみで必死にやっていましたが、今の会社では全く話題にもなりません。
そもそも受注する工事の規模が違うので重きを置くポイントが違うのでしょうが、、、
うちの会社では及第点でいいので設計変更をしっかり見てくれと言う声が聞こえます。
創意工夫などの加点にも力をいれません。
そんなことする暇があるなら休めと言われます。
プレゼンに力を入れるのもいいですが、技術士取得など自己研鑽に励んでは如何でしょうか?
2の方の情報の通り発注者はうわべだけの書類には興味をもっていません。
地元企業に良い点数付けてモチベーションあげないと地方のインフラ整備は誰もしなくなりますよね。どこの地整でも局長表彰取るのは大体地元企業です。それに地域の細々とした工事も地元企業がやってくれるから行政も助かってるわけで、お互い持ちつ持たれつでいい関係が築けてるから、点数を上げてるんだと思います。何千億と言う国家プロジェクトの実績や工学博士や技術士がザラにいるゼネコンが地元の会社に勝てないのですから、地元企業の実力は計り知れないです。