施工品質管理システム「D-SHIP」で働き方改革
次は、施工品質管理システム「D-SHIP」を導入した建設現場での働き方改革について、施工管理業務を行っている小林氏に聞いた。
――施工品質管理システム「D-SHIP」を導入した背景は?
小林 大京穴吹建設でも他のゼネコンと同様、建設技術者が不足している傾向にあります。修繕工事の規模にも大中小とあるので、すべての現場に技術者が常駐することはできません。そこで現場運営を効率化するため、ICTの出番となります。
大京穴吹建設では、2017年10月から帳票やワークフローを一元管理する施工品質管理システム「D-SHIP」を導入しました。2018年4月以降に着工した、全ての大規模修繕工事の現場で運用しており、今後は協力会社での運用も順次スタートしていく予定です。
――施工品質管理システム「D-SHIP」の機能は?
小林 「D-SHIP」は、個人のログインIDとパスワードを入力すると、個々が管理している現場名が表示されます。現場名をクリックすれば、工程の上流から下流へと工事項目ごとにチェックシートが出てきます。その作業が済み次第、協力会社さんが自主検査を行った結果を確認できるので、その場にいなくてもタブレット上で現場の進捗状況がリアルタイムに把握できます。
もし現場でチェック漏れや不備があっても、現場監督がコメントを入力するだけで、現場関係者への指示になります。
「D-SHIP」導入で社内情報共有もスムーズに
――「D-SHIP」導入以前の現場とどんな変化が?
小林 従来の施工管理は、書面記録、メールや電話でのやりとりが中心でした。書類作成や現場整理などの作業負担が大きく、協力会社とのコミュニケーションが煩雑になっているという課題がありました。また、それが現場監督の業務量を増やし、残業が発生する要因になっていました。マンションの大規模修繕工事でも協力会社は多岐にわたります。
しかし、「D-SHIP」導入によって、メールや電話を使わないで各種データを水平展開できるようになり、非常に省力化につながります。現場監督が「D-SHIP」を使えば、現場に加えて社内や協力会社とも簡単に情報共有できます。
――「D-SHIP」導入の手応えは?
小林 軌道に乗れば、必ず生産性は向上すると確信しています。ただ、浸透させるまでの産みの苦しみがあります。まだ操作に慣れていない現場監督もいます。システム的にも今はまだ現場からの意見をもとに断続的に改良を重ねている段階です。
「D-SHIP」は写真管理もできるので、将来的には工事完了後、マンション管理組合への引き渡し資料も作成できるように、さらにバージョンアップしていく予定です。引き渡し資料の作成業務は、マンション大規模修繕工事の現場監督が悩んでいる作業の一つですので。
多忙な現場監督も「D-SHIP」で働き方改革
――多忙な現場監督の働き方改革につながりそうですね。
小林 私の現在の担当物件は4棟です。以前は現場に行かないと伝えきれないこともありましたが、「D-SHIP」では現場に行かなくとも指示・伝達できるようになり、現場効率が捗っています。
――今後の「働き方改革」に何を望みますか?
小林 労働時間に関しては、選択できる幅が広まれば嬉しいです。時間や曜日に限らず、なかには「もっと働きたい」という方もいます。各個人が希望する働き方ができるよう、選択肢を増やして欲しいですね。
・・・まだ建設業界での働き方改革は始まったばかり。施工管理技士などの現場監督の苦労が報われ、家庭サービスやメンタル面が充実することを願うばかりだ。
建設現場はICTを活用すれば、もっと効率的に働けるなど、環境の余地は大きい。大京グループの「時差Biz」「テレワーク」「D-SHIP」でのチャレンジを応援したい。
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