海外建築現場での日本人の悪いクセ
この現場では朝礼の前に、日本人と主要なガーナ人とで、今日の作業の打ち合わせを行うのが決まりだった。
その際、日本人の所長が皆の前で話をするのだが、日本語と英語のチャンポンで、内容がほとんどガーナ人に伝わらない。
私は「日本人は主なトピックを話すのに留めて、実際に現場を進めるガーナ人に話をしてもらったほうがいい」と提案した。「事前に内容をジョーに話し、司会をジョーにやらせ、ガーナ人同士がもっと話し合えるようにした方がいい」と話した。
そして、最初にジョーが司会をした時、その態度を見て、彼なら出来ると確信した。ただ、日本人に気を使って、普段話している英語の速度の半分位で話している。私は「そんな気使わなくてもいい!普段と同じように喋ればいい。この会議はガーナ人に話を伝えるための会で、もし分からなければ、日本人の側から質問が出るはずだ。その時、分かるように答えてあげれば良い」と彼に伝えた。
この国に限らず、海外で仕事してる多くの日本のゼネコンの技術者たちは「分からないからもう一度言ってくれ!もっと優しい英語で喋ってくれ!」とか、まず言わないし、言えない。だから会議でも、相互の質疑応答も、ちぐはぐなやり取りになる事が多い。
海外では「分からない」と率直に言えない外国人は信用されない。日本人技術者の悪いところだ。
現地人とのコミュニケーション
ジョーが司会進行をやるようになってから、ガーナ人に間違った情報が渡ることが減った。
また、会議の席で「日本人が知らない情報」を聞く機会も増えた。
海外で仕事する場合、日本人との間に入る現地の人間いかんで、現場のコミュニケーションは大いに違う。このガーナの現場は、ジョーというガーナ人のお陰で、非常に良かった。
ジョーは見事に期待に答えてくれた。しかし、これは海外の現場では極めて稀有な例だ。トラブルが何度も何度も起きるのが、海外での施工管理である。
次回は、風変わりな建設コンサルタントが登場し、ゼネコンとコンサルの日本人の間でバトルが勃発することになる。
(つづく)