指示が細かすぎる建設コンサルタント
現場の作業員たちは、この現場の建設コンサルタントである日本人Iさんのことを「ミスター2エムエム」と呼んでいた。
ブロック積みの誤差を「2mm以内にせよ!」と指示された現地のガーナ人ワーカーが名付けたニックネームだ。とにかく指示出しが細かいコンサルで、日本のゼネコン技術者たちにも嫌われていた。
この建設コンサルタントIさんは、もともと早稲田大学の先生で、非常に博学だった。71歳と高齢だったが、頭の回転も非常に速かった。
私は国内国外を含め、いろいろな建設コンサルの人たちと仕事をしてきたが、唸るほど感心した建設コンサルは、このIさんが初めてだった。
普通だったら「まあ、その位でいいでしょう」と妥協する場面でも、Iさんはさらにひと押し、二押し、三押しと、徹底的に追求してくる。
私自身も、どちらかというと「いい加減に済ませること」が嫌いなタチなので、この現場にとっては良い傾向だと感じたが、他の日本人技術者からは「あんなに細かいところまで指示するなんて異常だよね」と、すこぶる評判がよろしくなかった。
その結果、工期を早めたいゼネコンOBと、バトルが勃発することになったのである。
俺も海外で働きたい。
どうやって野口さんは海外で働けるようになったのかを知りたい。