20年前の情報化施工とi-Constructionの背景
「改善」と「カイゼン」の違いを理解することが、生産性革命の神髄を見極められる力につながる。
では、この本質に気付いた発注者である国土交通省の動きを見てみよう。
2016年には従来の行政の取組みとしては考えられないくらい、いち早く基準類を一気に整備し、生産性向上を推進するための課題であった「発注者の考え方」を根本から改革した。
とはいえ、すでに20年前から、情報化施工という言葉でICT施工は現場で導入されていた。ただし、ある一定規模の、それも特殊な環境の工事において、情報化施工を推進するという位置づけが強かった。
情報化施工は、コストもかかるし人手もかかる。導入コストをかけてでも、災害復旧などの緊急工事や大規模工事において導入するという感覚が強かった。
そうした背景には、国がICT施工を推進しているわけではないし、そもそも導入するための施工に関する基準類がきちんと整備されているわけではなく、また、そのような建設重機も潤沢に用意されているわけではなかったため、ICT施工を導入するためには、高いハードルがあったのである。
しかし、2016年から様相は一変した。今まで受注者が発注者にどう説明するか悩んでいた面倒なプロセスや基準類が整備され、実施するための土壌が出来上がってきた。もうICT施工を「できない」という理由はなくなったのである。
ICT土工の基準類を短期間で改訂、i-Constructionの本気度
インフラ工事を行う我々施工会社が、ある意味頼りにしている基準類や仕様が、情報化施工を前提に切り替わってきたという世の中の動きを敏感に察知した企業は多かった。
特に大手建設会社ではなく、中堅、中小の建設会社はここが潮目だと一気に動き始めた。安閑としていたのは逆に大手建設会社である。
これらの動きを機敏に察知し、本当に何が生産性向上に役立つのかを「自ら体験し」「自ら実感している」企業が昨年、第1回目のi-Construction大賞をとった企業といってもよい。
第1回 i-Construction大賞受賞者
i-Construction大賞 国土交通大臣賞
- 砂子組(北海道奈井江町)道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事
- カナツ技建工業(島根県松江市)多伎朝山道路小田地区改良第12工事
i-Construction大賞 優秀賞
- 小山建設(岩手県一関市)北上川上流曲田地区築堤盛土工事
- 金杉建設(埼玉県春日部市)平成27年荒川西区川越線下流下築堤工事
- 会津土建(福島県会津若松市)宮古弱小堤防対策工事
- 新井組(岐阜県高山市)平成27年中部縦貫丹生川西部地区道路建設工事
- 中林建設(大阪市浪速区)第二阪和国道大谷地区道路整備工事
- 五洋建設・井森工業(山口県柳井市)特定建設工事共同企業体 徳山下松港新南陽地区航路(マイナス12メートル)浚渫工事
- 福井組(徳島県鳴門市)平成27-28年川島漏水対策工事
- 若築建設・あおみ建設特定建設工事共同企業体 須崎港湾口地区防波堤築造工事
- 野添土木(鹿児島市) 長谷川4号床固工・右岸導流堤工事
- 丸政工務店(沖縄県金武町) 平成28年度恩納南BP1工区改良(その13)工事
確かに中小のくくりは資本金3億以下又は300人以下だけど、現実は9割以上の企業は3千万以下又は30人以下程度です。
言いたいこと非常によくはわかるし、その通りのだと感じるところはありますが、筆者の言うように「カイゼン」というならば全体の5%程度の企業を中心に焦点をあてられても違和感があります。
こういう点が実際の中小にまでICTが普及しない一因なのでは?
今後の記事次第かと思いますが
全体的に浅い認識の印象を受けました。
そもそも「生産性」とはなんなのでしょうか?生産性革命が起きることによって誰がその恩恵を預かることができるのでしょうか?社長ですか?
社員までそのメリットを享受できるのでしょうか?
実態は、現場がICTに取り組もうとしても、発注者からの理解が得られないため二重管理を強いられているケースも多く、過渡期の感が強いです。かつての電子納品もそうでしたが。電子納品でなにか現場は恩恵に預かれたんでしょうかね。現在もペーパーレスとは程遠い実態じゃないですか?
ICTは数多くある手段の1つに過ぎません。上手く導入されている企業はそれを判っています。そういった企業はICTに限らず、様々な工夫と努力をしています。あまり盲目的にICTという言葉に振り回されるのも考えものです
国交省は割とレスポンス良いイメージですが、そこから下の局、市町村はまるでだめですね。結局担当監督員の安パイのために従来の書類もだすはめになる。
ICTとかアイコンストラクションとかの言葉に振り回されるのは危険
でもそれを逆手に上手く立ち回るのも大事
今後の記事でどこまで踏み込んで書いていただけるか期待します、ICTに対する発注者の理解はもっと欲しいですけどね、もっと勉強しろって思います
i-Constructionは制度より
意識改革が必要だと思う昨今でございます。
発注者は勿論ですが、ついつい施工者も
古い考え方に縛られてしまいがちです。
今が土木が変わる潮時じゃないでしょうか。
ICTとかCIMとか格好つけてはいるけれど、リニアモーターカーや新幹線と同じく、
世界中に新しい日本の土木技術を輸出したい。
世界には広大な国もあれば、日本より人口も面積も小さな国もある。
その為に日本中を利用した国策実験ということでしょ
今現場で行っていることとは違う未来になるかもしれないけれど、
少子化対策の面のあわせもっている為、国からの投資が止まることは当面無いように思います。
i-Constructionの導入して高い機材を揃えることよりも、i-Constructionを使って創意工夫をしなければ、何も意味がありません。私は絶えず災害復旧工事の現場でi-Constructionを導入していたら、こんなことができると日々想像していました。これからはi-Constructionでの競争時代になると思います。