山口システムとは?
この試験・試行施工で得られたデータは、適切なひび割れ抑制方法を選定する上で有用なものとなった。なぜなら、同一地域の実構造物で、多数の対策工を比較したデータは、これまで無かったからだ。
こうして蓄積された施工データは、施工計画(PLAN)→実施工(DO)→評価(CHECK)→改善(ACTION)というPDCAサイクルとして実を結ぶ。
実構造物から集積したデータベースを基に、設計から施工を行い、さらにそのデータを分析して、設計に反映するという、PDCAサイクルによるコンクリート構造物の品質確保システム、いわゆる「山口システム」の基本が出来上がった。
山口システムが全国に広がっているのは、このサイクルが分かりやすいからだろう。
「山口システムの中核を担うのは、『コンクリート施工記録データベース』でしょう」と二宮は言う。
「最初は2004年度から2カ年で試験施工したものをデータベースの標本としていましたが、これでは足りないものですから、2006年度から施工業者にも協力してもらって蓄積しました。
今では特記仕様書によって『コンクリート施工記録』の提出が義務付けられています。そこでシステム管理者が気を付けなければいけないことは、施工由来の不具合が少なく、記載ミスがない良質なデータベースを構築することです。
様々な参考情報を基に、データのミスを修正・更新することも怠ってはいけません。信頼を低下させることになれば、システムの根幹が揺らぐことになるからです。」