i-Constructionの講師もやっていたのに
正治組は「地公体等発注工事/業務部門」で優秀賞を受賞した。
正治組の大矢洋平氏は、国交省がi-Constructionを提唱する約15年前からICT施工に取り組み、全国でi-Construction導入のための講師も引き受けていた。
i-Construction大賞の「今更感」に鼻白んでいたくらいだ。そもそも、こちらが評価する立場だと思っていた。
ところが、頼んでもないのに「後からi-Con」に表彰されるという屈辱。
しかも、大臣賞ではないというおまけつき。
i-Constructionは、新しいことでもなんでもない
大矢氏が優秀賞を受賞した案件は、橋脚の補強工事。鉄筋を立て込んだあと、乾式吹き付け工法(ポリマーモルタル)で100mm補強する。
従来であれば、膜厚管理は人力だ。足場を組んで糸を張り、丁寧にレベルを出す。その前工程に人も時間もお金も湯水のようにかける。
そもそも50年も前の構造物だ。通りがとっておらず、その形に合わせて塗膜厚を出す。想像しただけでも大変な労力であることがわかるだろう。

優秀賞を受賞した橋脚補強工事。鉄筋を立て込んだあと、乾式吹き付け工法(ポリマーモルタル)で100mm補強する。
しかし、大矢氏はレーザースキャナを半日回すだけで、当該構造物を3Dデータ化。3Dデータを取ってしまえば、あとは吹き付けるだけ。出来型管理も、得られた3Dデータと完成構造物を照らし合わせるだけだ。
きちんと100mm増し厚されているか簡単に確認できるだけじゃなく、鉄筋位置もジョイント部も正確に把握できる。そのため、今後の維持管理ステージに有益なデータとして納品もできる。
ただ、大矢氏にとっては取り立てて「新しい」ことでもなんでもない。
「そんなに大したことじゃないのに、これを表彰されて、なおかつ大臣賞じゃないなんて」
大矢氏の失意は深い。
次のi-Construction大賞では「大臣賞」を取ってくれ
大矢氏と話していると、いくつものヒントが得られる。
ただ「使ってるだけの人」との交流ではだめだ。
仕事を楽しんでいる。使命感に燃えている。情熱をもって仕事にのぞんでいる。
そんな「使う人」との交流から、多くのヒントが生まれる。
次のi-Construction大賞ではどうせ表彰されるなら大臣賞を取ってほしい。
※この記事は『生コンポータル』の記事を再編集したものです。