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「胸が大きくて安全帯がきついよね」建設現場でハラスメントが無くならないワケ

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公開日:2019.03.27
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「建設業はこういうもの」という危機感の無さ

――そもそも”ハラスメント”の定義とは?

樋口 簡単に言うと、「嫌がらせ」「いじめ」です。「相手を苦しませたり、悩ませたり、理不尽な思いをさせたりすること」と捉えるとわかりやすいですね。つまり、ハラスメントは”対象者がどう思うか”ということが基準の一つになるんです。

最近は多様化していますが、代表的なハラスメントには「セクハラ」「パワハラ」「マタハラ」「モラハラ」などがありますね。

職場のハラスメントというと会社内での出来事と思われがちですが、クルマや電車での移動中、飲み会や出張先も含まれます。実際、女性に対する性的なからかいは、飲み会などの懇親会で多く発生しています。

――建設業界では、ハラスメントが見過ごされてきた側面もありました。

樋口 確かに、建設業は命に関わる仕事ですから、指導も厳しくなりがちです。ただ、行き過ぎるとハラスメント問題へと発展します。

以前、ある建設会社の人事労務担当者から「ハラスメント研修を開催することになったので、どの点がハラスメントにあたるか指摘して欲しい」という相談がありました。

私は、この会社の男女問わず様々な現場に携わる方からヒアリングをし、問題点を抽出しました。それを本にまとめたものが『建設現場のハラスメント防止対策ハンドブック』です。

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ヒアリングの過程で、建設現場はオフィスとは違う価値観で生きているなと感じました。建設業界は、若手登用や女性活躍に重点をシフトしていると聞いていましたが、上司からの若手へのパワハラ、もくしは女性へのセクハラが未だに残っていました。ヒアリング中には、「私は平気ですが、ほかの人であれば耐えられないのでは」との話もありました。表立って問題にならなくても、辛い思いをしたケースもあったのではないかと思います。

ただ、話を伺っていると、「土木や建築はこういう業界だからこのままでいい」という意見も見え隠れしていました。ハラスメント防止は、経営の重要課題と認識し、建設業界も変わっていかなくてはなりません。一人ひとりが意識を向けて欲しいですね。

昔かたぎの「仕事は見て覚えろ」はパワハラ

――建設現場でのパワハラの具体例は。

樋口 今は建設ラッシュで、特に仕事が忙しいと思います。それに、命にかかわる問題ですから指導が厳しくなることも理解できます。

当然ながら、成長を促すための合理的思考に基づいた指導は必要です。しかし、「バカヤロー」「死んじまえ」「小学生以下」といった子供じみた発言はおおよそ指導とは言えず、明確なパワハラです。

たとえば、ある若手技能者は、工具を落としそうになったとき、職長に「バカヤロー!なにやってんだ!もうお前はいらん!」と怒鳴られました。すると、この若手は翌日から出勤しなくなってしまいました。建設業界では、ハラスメントで退職する方も少なくありません。

また、昔かたぎの職人にありがちですが、「仕事は見て覚えろ」「俺の背中を見て仕事をしろ」といった言葉もパワハラにあたることがあります。見て覚えることはとても大事ですが、「無視されている」「教えてもらえない」などのマイナス感情を抱くこともあるからです。

ほかにも、個人的に気に入らないからといって仕事を与えなかったり、意味のない長時間の叱責や説教もパワハラです。

建設業界は言葉の荒さが独特で、言葉で説明するのが苦手な人が多いなという印象です。ただ、今求められているのは、具体的かつどこを間違えたのかを教える合理的な指導です。たとえば、上司が後輩とともに事故の再発防止に取り組む姿勢は、厳しい指導であっても共感を呼びますよね。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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