ワーカビリティの評価項目
「ワーカビリティ」とは、「ワーク:work」「ワーカブル:workable」からなる語、つまり作業性のことを指す。
この作業性の良し悪しを細分化したものが、「コンシステンシー」「ポンパビリティ」「フィニッシャビリティ」だ。
「コンシステンシー:変形や流動に対する抵抗性」
現場などで行われている「スランプ試験」で測っているもの。それが主に「コンシステンシー」で評価される項目だ。
スランプ試験では、スランプコーンを引き上げた際、その試料の「変形」「流動」などを見て、そのフレッシュコンクリート(生コン)の性質を評価している。
また、フレッシュコンクリート(生コン)の性状・固さによって、コンシステンシーの評価手法が以下のように若干異なってくる。
- スランプ試験(スランプ 5cm~18cm)
- スランプフロー試験(高流動コンクリート)
- 振動台式コンシステンシー試験(ゼロスランプなどの固練り)
これらの試験で評価されたコンシステンシーに影響を及ぼしている要因については、以下のような項目が挙げられる。
- 水量
- 空気量
- 水セメント比
- 骨材
- 混和材料
- 温度 etc.
これらの細部にこそ、これまで材料の講義で学んだ知識が活かされてくる。
「ポンパビリティ:圧送性」
現在のコンクリートはポンプで圧送されることが多い。大量打設の際には今や欠かせない手法であり、ポンプ圧送前提で配合を作ることも珍しくない。
ポンプ圧送で求められる項目が「ポンパビリティ(圧送性)」として評価される。ここでは「流動性」「変形性」「材料分離抵抗性」の3要素が注目される。
「フィニッシャビリティ:仕上性」
大抵のコンクリートは打設の最期にコテ仕上げを施される。仕上げに求められる品質も、状況により大きく異なる。ザラザラな仕上がり、ピカピカな仕上がり、打ち継ぎ用の凹凸仕上げなど、その要求はいつも異なる。
仕上げるためにはある程度のブリーディング(浮き水)が必要となる。ブリーディングが多いか少ないか、早いか遅いか、あるかないか、その程度の知識さえあれば十分だ。
この仕上げのしやすさを「フィニッシャビリティ(仕上性)」と呼んで評価する。
ワーカビリティの良いコンクリートは現場によって変わる
ワーカビリティについて解説したが、現場によって求められるコンクリートの品質は異なる。例えば、土木現場の斜面への打設と高強度で過密配筋な建築現場では、使用されるコンクリートの性状は全く異なる。
つまり、ワーカビリティの良し悪しも現場ごとに変わるのだ。
それどころか、コンクリートを扱う業者、さらにはその職人の手腕によってさえ、ワーカビリティは異なってくる。ポンプ圧送業者にとっては流動性の高いものが扱いやすいが、左官業者にとっては仕上げがしにくい。その逆もまた然りだ。
どの業者にとっても扱いの良いコンクリートこそ、「ワーカブルなコンクリート」と呼べるだろう。
しかし、「ワーカブルなコンクリート」を目指すには、製造・施工などの総合的な知識と理解が必須の条件となる。以下に、概念図を示す。
この重なる円の中心部分に位置するコンクリート。これこそが各業者にとっての「ワーカビリティの良いコンクリート」と評価されるものだ。