“プラスチック”なコンクリートとは?
最後に「プラスティシティ:plasticity」について説明する。プラスティシティの語源は「プラスチック:plastic」からきている。さて、「プラスチック」という言葉を聞いて、どういうものを想像するだろうか。
もちろん「石油から生まれた合成樹脂のこと」ではない。一般的なイメージに反して、今回取り上げる「プラスチック」は”状態”のことを表している。
「plastic」は、「可塑性(塑性体)」や「成形力のある」などと訳される。これではまだイメージが湧かないだろうか。では、その反義語「エラスチック:elastic」も見てみよう。
「elastic」は、「弾性(弾性体)」「弾力のある」などと訳される。つまり、弾性体(ゴムなど)の反対の性質のことを「プラスチックな状態」という。
まだまだイメージが湧かないかもしれない。要するに、塑性体とは押したら押しただけ変形し、その形を保つ性質のこと、弾性体とは押しても戻ってくる性状のことだ。
ヨーグルトをスプーンで盛り付けて、形がくずれないのが塑性体。スプーンでプリンを押したとき、プルンとするのが弾性体だ。
まとめると、「プラスチックなコンクリート」とは、成形可能なコンクリートのことを指す。つまり「プラスティシティ」とは、その性能の良し悪しの評価、と捉えることができる。
「お気に入りの生コン」は人それぞれ
人それぞれに、お気に入りのカレーは異なる。味・香り・色の違い程度でとどまることはなく、とろみ・温度・リメイクのしやすさにまで及ぶ。
「生コン」も同様、ポンプ屋、左官屋、設計・監督など、現場で関わるそれぞれにとっての最適な状態は微妙に異なる。
お互いの要求を譲歩しあいながら、その現場での最適解を得ることこそが、「生コンに求められること」なのだ。
その要求事項を知る第一歩として、今回の「フレッシュコンクリート(生コン)」の知識を活かしてほしい。