【負の連鎖2】発注自治体のズサンな管理体制
落札業者が決まったからには、発注自治体は1日も早い工事の再開を望むわけだが、ゼネコンB社はすぐに工事を再開することができなかった。自治体の管理体制もまた杜撰を極め、施工図の承認データが保存されてなかったためだ。
ゼネコンB社はやむを得ず、自治体を通じてゼネコンE社の元・現場代理人と連絡をとり、施工図等の引き継ぎを行うことになった。そして、このやりとりのせいで、落札から着工までにさらに約1ヶ月半を費やした。
ただここでラッキーだったのは、倒産したE社は比較的規模が大きいゼネコンであったため、民事再生手続き中で会社自体はまだ“存在”していた、という点である。
もし倒産した建設業者が、もっと小規模の建設会社で、夜逃げされたり、会社自体が“もぬけの殻”状態だったりしたら、現場代理人と連絡を取ることができず、引き継ぎ時点の状況をもとにイチから設計し直すという、相当悲惨な状況になっていたはずだ。
……だが、この程度の無駄な時間を浪費するだけならまだ幸せだった。この工事案件の引き継ぎ期間中、現場ではさらなる事件が起こっていたのである。
【負の連鎖3】指名停止を恐れた電気設備業者と衛生設備業者
自治体というのは、年度をまたぐ事業であっても、単年度会計が原則になっている。そして、予算計上された施設整備費に対する予算執行率が悪いと、債務者である落札事業者に指名停止等のペナルティが発生する恐れが生じるのだ。
そのため、このペナルティを回避したい電気設備工事を落札した業者と、衛生設備工事を落札していた業者が、建築工事を待たずに配線、配管および器具の設置を先行してしまったのである(E社は着工に至るための準備期間中であったので、着工許可を得ていなかったが、ほかの工事業者はすでに許可を得ていた)。
その結果、ゼネコンB社は目を疑うような凄惨な光景に直面することになった。それぞれ下地がない上に、仕上げのレベルも出されていない状況で、スラブ上では衛生配管が張り巡らされ、天井ではゼネコンE社が打設していた天井インサートを完全に無視した形で空調配管が通り、さらに器具も本設されていたのだ。壁はLGS下地もないところに、立ち上がりの配管など、とてもじゃないが建築が入れるような状況ではない惨状が広がっていた。
建築施工管理です。お疲れ様です。
情報から躯体完了し仕上前に倒産なのかな?
行政からお願いされてやむを得ず施工を引き継ぐ苦労は心中お察しします
めいいっぱい貸しを作って評価されてください
経営状態を調査しない、辞退は入札禁止て本当?今時そんなことしてたら事業進まないだろう。あと図面もないのにどうやって札入れたんだ?本当か、これ?
役所が入札会社の経営状態をチェックする、という話は聞いたことないですね。
そもそも役所は法律に則って運営されますので、法律にないことはしない(できない)ですね。
入札・契約や前払金の支払時には、契約保証金やそれに替わる履行保証保険をかけることに(法律上)なっています。
それ以上の措置はできないかと。
辞退については、最近でこそ「辞退者に対する不利益な措置は一切しない」と明記されますが、一昔前までは、辞退すると役所の心証を悪くするから、次回の入札から指名されなくなるのでは…という噂がまことしやかに流れていました。だからおいそれとは辞退できませんでしたね。
再発注図面については、おそらく倒産時点で躯体まではできていたんでしょうから、元の発注図から躯体部分の数量を抜いて再積算して再発注されたんでしょうね。