「ダサイ」から、土木を学ぶことにした
――藤井先生の根っこはやはり土木なんですよね?
藤井聡 「根っこ」っていうのが何かよく分かりませんが、僕の研究は基本的に全て「土木」の研究と言って良いでしょうね。土木を勉強し始めたのは京都大学に入学してからですが。
――なぜ大学で土木を選んだのですか?
藤井聡 それは、僕は国語が苦手で、工学部くらいしか受験できることがなかったのが一番の理由ですね(笑)。
当時、京都大学や東京大学に入ろうとすれば、京都大学の工学部以外は全て二次試験で国語があって、どれもこれも、現実的に受験を諦めざるを得なかったわけです。
もともと僕が興味があったのは、哲学と物理学で、文学部か理学部に入りたかったんですが、中学の頃からどうやっても国語の点数が取れなかったので、結局、工学部以外の学部は諦めざるを得ないなぁ、と思っていたわけです。
ちなみに今、僕が書いた本が毎年、2、3の大学の国語の入試問題として使われてますが、自分の書いた本からの国語の問題でも、回答しようとしたら全く答えが分からなくてびっくりしました。それくらい、「国語の試験問題」ってのが苦手なんです(苦笑)。
まぁ、それはさておき、当時京大の工学部は、入試を受ける時点で学科を決める制度だったんですが、選択肢もたくさんあったわけで、「まぁ、工学部のどっかの学科でいいか」と思ったわけです。
で、その中では、土木が一番違和感がなかったので、土木にしました。機械、電気、建築とかは全部ピンとこなかった。なんかちっちゃいモノをつくる、っていうことについて、なんだかオタクみたいな感じがして、全く全然興味がもてませんでした。「そんなことして、何がおもろいねやろ」と思ってたわけです。
でも、「土木」ってどういう意味がはっきり分からないし、なんかふわ~っとしてるし、何をやっても良さそうな感じがしたんですね。
――そんな感じだったんですねえ。
藤井聡 しかも土木って、世間で全然、「カッコイイ」と言われないじゃないですか。土木に入ったヤツで、世間に対して「イキッテル奴」(=ええカッコしぃをしてる人)はいないでしょ?
でも、電気や情報にはイキル奴がいそうだし、航空はエラそうにしそうです。
――土木にもイキル奴いるでしょ?(笑)
藤井聡 でも、土木ってダサイじゃないですか。
――ダサイ?
藤井聡 基本ダッサイじゃないですか、土木って。ただ、僕は昔からこの世の中全体がダサイと思てました。
このダサイ世の中で、ダサイと思われているものは、ちゃんとしているに違いないと思たんですよね(笑)。そういうのもあって土木を選んだんですよ。
――そうすか(笑)。
藤井聡 ちなみにこれ、ホントにマジメに答えてるんですよ。ダサイって世間で言われてるから土木に入ったわけです。
この腐った世の中で、このダッサイ世の中で、カッコイイとされている職業でまともな職業なんて、何一つないと思てました。ホントに子供の頃から、この世の中は腐りきっていると思て生きてましたから(苦笑)。
土木は学問として美しくなかった
――大学で土木を学んで、どうでした?
藤井聡 全然面白くないんですよねえ(笑)。卒業するのに勉強せなしょうがないから勉強しましたけど、まったく面白くありませんでした。まだ「世のため人のために役に立つ」っていうことの土木の本質とか、土木のホントの面白さが分かってなかったから、学問としての「美しさ」ばっかり考えてたんですね。
そもそも土木の授業で勉強してるものって、「学問として美しくないなぁ」って思てましたね(笑)。当時の僕は「相対性理論や力学の世界は美しいなぁ」っと思って好きだったんですけど、それに比べると、例えば「構造力学」や「土質力学」は「美しさ」っていう点ではどうしても違うところがあるわけですよね。
「水理学」はいくぶん美しさがあると思っていましたけど、それでも経験則が入ったりしているところは、「美しさ」っていう点では「ちょっと違うなぁ」と当時思てましたね。
「土木計画」っていう分野もあったんですが、ホント、つぎはぎだらけで。それについてももちろん「美しくないなぁ」と思ってたわけですが、都市や社会を扱うから、自然科学的な美しさじゃなくて、哲学的、社会科学的深みがあってもよさそうなもんだと思ってたんですが、それも全然ない。だから、ホンっとに「しょうもな」って思てましたね(笑)。こんなん言うてたら怒られそうですけど、そういうのが、当時の僕の正直な印象だったわけです(笑)。
――本当に正直ですね(笑)。
藤井聡 だから、僕は大学でずーっと哲学や文学を読んだり、社会学や心理学を勉強したり、他のことばっかりしていました。僕にとっては「土木は砂を噛むような学問だなぁ」と思てたわけです。
――研究室はどうでした?
藤井聡 「交通工学」っていう分野の研究室に入ったんですけど、ホント、どうしようもなく退屈でしたね。どの研究テーマも、ホンマに「しょうもな」ってずっと思てましたね(笑)。
――(笑)。
藤井聡 「交通流シミュレーション」とかやってましたけど、プログラム組むだけで、単純やないですか、そんなもん。
まぁ、オタク的な感覚で言ったら、プログラム書いて、シミュレーションが動いたら、「へへ、シミュレーション動いた(笑)」と微妙にうれしくなりますが、それだけですよね。
――研究室に入ってからも、ほかの分野の勉強をしていたんですか。
藤井聡 そうです。「本当の学問の面白さは、別のところにある」ということで、ずっと一人で勉強していました。
だから、大学で土木を学んだ感覚はないんです。僕にとって大学での土木の勉強は、人生の次のステップをするためのただの作業でした。
すげえ!良い事言ってる!土木の本道を心に今日も汗かきます?
藤井教授は教科書に載るレベルのガチの学者ですよね。
倫理学も学ばれていたので、橋下徹のペテンにも気付いたのでしょう。
私も勉強すればするほど、細分化されていくのが嫌でした。
数学1,2やリーディング、ライティングなど…。
小学校の頃の国算理社が許容範囲だったので、大学も一つのジャンルしか学べ無いようで、嫌でした。
藤井教授の存在をもっと早く知っていればなぁと、残念でなりません。
学問とはこうあるべきだと考えさせられる
話は難しいけど、土木に携わる人間なら読んでほしい
土木関係のモノ書きなのに、築土坑木の思想って動画見たことないのかね?
土木マネジメントみたいな感じがした。
国土強靱化って、ただインフラの耐震性を上げることだと思ってたんですけど大間違いでしたね。中・長期的なインフラ整備計画は確かに必要と感じました。自分が定年を迎えたときに、今のインフラが健全な状態にあるとは思えない。
藤井先生のユーチューブ面白かったです。
あと①はもう少しちゃんと記事読んだほうがいい。
ほかの媒体でもちゃんと丁寧にいろいろ答えていますよ。
少し視野が狭いのではないでしょうか
災害復旧工事に携わり8年になろうかとしています。先日の台風19号で被災3県は沿岸ばかり工事したため内陸部の携帯基地局が次々に被害を受け、今もなお、夜間工事で傾いた電柱を修理しています。ある日突然水が出無くなったり、電気が止まる、何起きても公共インフラはおかしくありません。水道事業の民営化やもう少し議論する必要があるのではないでしょうか?
自分はとある官庁で20年ほど土木担当者として働いてきましたが、公共工事では単年度予算というのがネックでしたし、構造物を造る際には周囲の景観にマッチするとか、環境に優しい部材を使用するとか研修や会議では理想論で論じられますが、結局実際に設計する際には徹底的に経費削減を求められ、安全率ギリギリまで規模を削られたり、少しでも安い部材の使用を会計検査院に求められたりで、歯痒い思いばかりでした。
結局すべては予算が最優先で、いつもつまらない仕事をしてたという思いです。
将来どのようになっていくか自分には予測できませんが、もう少し担当者が自分の考えで色々付加価値を付け加えたり、アイデアを生かした設計ができるようになれば土木事業に携わることへのモチベーションが上がり、より良い日本を造ることへ繋がると思います。
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先進国並にやらないといけないと筆者は言っているのですが?
アメリカやヨーロッパがやってる事全否定ですか?