コンクリートは優しく、丁寧に扱って
コンクリート構造物の品質確保に関して、効果的な手立てはあるのか。近田は「一般的なことかもしれませんが、技術者の経験知は大きなウエイトを占めるでしょう。これを積み上げていくしかないような気がします」と語る。
その上で「事後評価することは有効な手段だと思います。山口県からはじまって熊本県へと受け継がれているQC活動は、技術者に幅広い知見を促す観点から非常に成果を上げているのではないでしょうか。
長野県や群馬県でも竣工時にチェックする取り組みが広がっています。特に発注者、施工者、生コン製造業者が相互に生コンクリートを理解する統一した組織があることは素晴らしいことです」と、全国的に広がっているコンクリート構造物の品質確保に対する取り組みを高く評価する。
最後に、近田は良質なコンクリート構造物を造るヒントを明かす。
「コンクリートは建設材料としてコストも低く良質なものです。セメントを除く骨材などは地産地消で、それをうまく使い練り混ぜたものですから、何度も言いますが固まるまでに分離しやすい性質を有しています。
そのことを理解して、コンクリートは優しく、丁寧に取り扱ってほしいです」
コンクリートの質の良さって、何十年も経って出てくる不具合でわかるんだよね。
だから、技術も大事だと思うけど、根っこに技術者としての矜持も大事なんじゃないかと思ってる。
それが無かったら、この程度でいっか、ってなるしね。
こだわろうと思えばどこまででもこだわれるけど、その結果が分かるのがずっと先というジレンマ