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何事も”地盤”が大事! なのに、安価な地盤改良工法が蔓延るワケ

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公開日:2019.10.17
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地盤の理解はまだまだ遅れている

5年ほど前から、株式会社Ms構造設計(新潟市)の佐藤実先生が「地盤と上部構造の一体設計」という考え方を普及させようと、構造計算や構造設計の技術研修などを行う「構造塾」を立ち上げています。

自分ごときの曳家職人(しかも高齢!)が建築士さんたちに交じって受講することにはいささか気おくれもありましたが、気分は「無法松の一生」でなんとか1年目初級コースだけは受講させていただきました。

曳家は大工さんほどではないですが、まあまあ構造のことは体験的に学んでいますし、地盤のことも考えます。沈下したお家を直すために呼んでいただくと、3割くらいは一番沈下している基礎部分に雨水が落ちています。

その際、私も「雨どいの水が敷地内にそのまま落ちて土を流していますから、庇よりも離れたところに水が出るようにしたほうが良いです」とか、「雨水舛の位置をもう少し外に変えたほうが良いですよ」くらいは言いますが、それ以上の土質のことまでは突っ込んで話をするのはなかなか難しいんです。

沈下している原因である雨水枡の周辺を掘削してみると、布基礎のフーチング下が空洞になっていた。
家は全体でかろうじてもっているが、地盤からの支持が無いため、この周辺が沈下している。

なので、「今から30年前(本当は20年くらい?)は、まだ地盤のことなんてあまり考えてなかったですもんね。家が傾いても、『地盤が悪かった』で済ましてましたものね」と話す程度で止めておくことが多いです。

ただ、近年では、建築士さんの責任が明確になってきましたので、こういう逃げは打てないです。そう考えると、自分なんかより建築士さんや工務店の方のほうがもっと地盤について勉強する必要性があるんでしょう。

液状化で沈下した住宅を土台揚げしている。最大沈下量は270mm。持ち揚げる際には水道、ガスなどの配管をフレキ管に一時的に交換しておこなう。

テラス部分の柱にあるアンカーボルトを抜き上げている分だけ沈下していた。

ですが、世の中には「高気密」を売りにした住宅は雨後の竹の子並にありますが、「最高の地盤の家」ってフレーズはまだまだ聞きません。

私はずっと沈下したお家を直しにいく仕事をしていて、沈下したらどれだけ体調が悪くなるか? 生活しづらいか? 直すのにお金かかるか? を知ってますから、より地盤に神経質になります。

ですが、世の中では液状化被害を体験した地区にお住いの方を除くと、地盤に関する理解はまだまだのように感じています。

沈下事故が減っても、曳家の仕事は無くならない

最後に、今回の記事を読んだ方の中には「沈下事故が減ると、岡本さんの仕事も減るんではないの?」と心配してくださる方もいるかも知れませんので書き添えておきます。

大丈夫です。確かに近年、沈下事故は減っています。地盤保険会社の方も、その下で補償案件の工事をしている沈下修正工事業者の方も、「仕事減った~」と言っています。

それでも、医者が健康について有意義な情報を発信していても病人が減らないように、沈下事故や欠陥住宅は無くなりません。

ましてや、自分が専門とする「土台揚げ」工法の場合は、古い布基礎案件を安価に直すことに適しています。そうすると、自分が引退するまでに現場が無くなるということも考えられません。

それよりも、知識のないリフォーム会社の安価な「新工法」に、本来ならご依頼いただけたかもしれないお施主さんを奪われることのほうが問題です。

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この記事を書いた人

曳家岡本 岡本直也
岡本直也
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曳家岡本の二代目。日本屈指の曳家職人。テレビ出演は「真相報道バンキシャ」「心ゆさぶれ先輩rock you」「ウェークアップぷらす」など多数。漫画化もされており、雑誌「週刊漫画Times」で連載中の「解体屋ゲン」にもセミレギュラーで実名登場。
自分では「日本一小心者な曳家」だと思っているが、ある建築家からは「蚤の心臓」と呼ばれている。しかし、自分が凄いのではなく、かつて昭和南海大地震や伊勢湾台風から復興するための技術として栄えた高知県(土佐派の曳家)の技術が自分の身体に残っているだけである。
東日本大震災の直後に千葉県浦安市対策本部の招聘されて上京。近年は全国の社寺・古民家修復を中心に手掛けている。
曳家岡本HP ⇒ http://hikiyaokamoto.com
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