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「命を守るために、会社を辞めた」 “土木の伝道師” 松永昭吾が技術者たちに伝えたいこと

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公開日:2019.10.08 / 最終更新日:2022.08.16
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故郷・九州で「土木の伝道師」になるため退職

――建設コンサルタントではどのような仕事を?

松永 東京に本社を置く株式会社建設技術研究所に入社しましたが、阪神淡路大震災直後の大阪支社に配属されました。当時はとても多くの技術者が大阪に集められましたが、その中の一人でした。主に倒壊した阪神高速3号神戸線の復旧を担当しました。1年経って、東京本社の超長大橋研究室という部署で、夢だった長大橋の計画や研究に関わることができました。

ところが、景気が悪くなって、国が長大橋の計画をすべて凍結しました。研究室も無くなり、しばらくは道路橋示方書改訂関連の仕事や、橋梁の耐震補強や維持管理の仕事をやっていました。

その後、九州支社で新設橋梁の仕事や福岡県西方沖地震の調査を行い、東京勤務に戻って、大きな橋の設計や国総研(国土技術政策総合研究所)発注の研究や津波の実験、海外の人材育成の仕事などの仕事などをやっていました。

――充実していたのに大手を辞めたんですよね。その理由は?

松永 理由はいろいろあって、話しにくいこともあるのですが(笑)、大きくは、九州に帰って故郷に貢献できる仕事がしたかったから。さらには、災害に関する啓蒙活動をやりたかったからです。

特に東日本大震災の際は、被災地に赴くたびに「なんでこんな危険な場所に鉄道の駅や道路をつくったんだ」と思って、土木技術者として恥ずかしくなっていました。

「人の命を助けるために、技術者である自分に何ができるのか」と思ったときに、「技術的な知見に基づいて、本当のことをちゃんと理解してもらえる活動をする必要がある」と考えたんです。「日本の国土って、こんなに危ないんだ」と。

東日本大震災津波により桁流失した歌津大橋(マツさん提供)

明治政府や明治維新で来日したお雇い外国人は、我が国の過酷な自然環境や「木」と「土」の文化によって作り上げられてきたそれまでのルールを十分理解しないまま、欧米の最新の技術や基準を日本に急いで導入しました。日本はいまだに、150年前にはじまった欧米型近代化の道を突き進んで効率化を追求しています。

「このやり方のままではダメだ」と考えていた矢先、東日本大震災が起きて、津波が繰り返し来襲してきた地域で多くの人が亡くなってしまった。震災調査、復旧は道半ばでしたが、私は会社を辞めました。九州に帰って、故郷の命と未来に向き合うべく「土木の伝道師」になろうと思ったんです。

阪神淡路大震災で生じた疑問。それが各地で発生した豪雨災害や噴火、東日本大震災で確信に変わり、熊本地震でさらに強まったというふうに感じています。

会社を辞め、九州に戻った3年後、熊本地震や白川の豪雨災害、阿蘇中岳の噴火が発生したんです。熊本地震では、土木学会の現地調査団の一員として、発災直後から現場に入りました。九州は地元なので、個人的な思い入れも強かったです。

熊本地震による地盤変状 / マツさん提供

当たり前ですが、インフラ構造物は劣化すると、災害時には壊れやすい。劣化した構造物をちゃんと直していくことが必要です。すでに直した構造物でも、壊れやすくなっていることがある。既設構造物の補修・補強工事は、新設構造物の建設工事より難しく、適した材料、工法の開発もまだまだ不足しています。

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  • - 2019/10/08 11:00

    こういう人は業界内だけじゃなくて世間一般にも広まってほしい

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