大阪国際女子マラソンは、奥村組にとって「お祭り」
――2年目はどのような活動を?
藤本 2年目は、「さらに露出の機会を増やしていこう」ということで、新たに長期展開するものと短期展開のものを設定しました。長期展開としては、テレビ東京の「ガイアの夜明け」などの番組提供により、定期的にCMを流すことにしました。忘れられないように、継続的に露出するねらいがあります。
短期展開では、1月のマラソン前後3ヶ月ぐらいに集中的に広告を出すことにしました。関東地区のスポットテレビCMやJR東日本や東京メトロの車内ディスプレイ広告のほか、GyaoなどにインターネットCMも出しました。ちょうど学生の就活前の時期に当たるので、リクルーティング対策のねらいもあります。
CMの評判はまずまずだったのですが、飽きられないようにということもあって、新たなCMもつくりました。技術的な部分を紹介する「現場シリーズ 奥村組の強み」と、「建設LOVE!奥村くみ」続編の「シーズン2」です。新入社員だった奥村くみがシーズン2では少し成長して、建物が完成した達成感を味わうようなストーリーにしました。新たなキャラクターとして、土木の同期社員「土木匠(つちきたくみ)」を登場させました。
――マラソン、CM以外でも注目されることはあったのですか?
藤本 関西テレビが開局60周年記念として、JR六甲道駅復旧工事を題材した「BRIDGE」という特別ドラマを制作することになり、当社は撮影監修など全面的に協力しました。社長の奥村などは、エキストラとして出演もしています。
ドラマの中では奥村組の名前は使われず、架空の建設会社名でしたが(笑)、エンドロールには特別協力として奥村組のクレジット表示が出ました。ちなみにこのドラマは、タイミングよく、マラソン開催前の2019年1月15日に放送されました。
――マラソンとの相乗効果もあったでしょう。
藤本 それはありましたね。普段は注目されない建設業が舞台のドラマということで、放送後、多くの方からの「感動した」など本当に嬉しい反響がありました(笑)。ドラマの放送が、マラソンの2週間ほど前でしたので、これ以上ない追い風となりましたね。
――その中で、マラソン当日を迎えたと。
藤本 2019年1月のマラソンに際しては、前年と同様に産経新聞紙上で、社長の奥村と五輪金メダリストの元女子マラソン選手 野口みずきさん、元フジテレビアナウンサーの加藤綾子さんとの特別鼎談を通じてマラソン協賛の趣旨を理解いただくよう努めました。
また、今回は、漫画家の浦沢直樹さんが大会広告などに使うキャラクターを描きました。嬉しかったのは、キャラクターのゼッケンにもちゃんと「奥村組」と書いてあったことです。関係者によると、ここまで描き込むことはなかなかないらしいです。終了後、パネルなどは捨てるというので、全部もらってきて、会社ロビーなどに展示しています(笑)。
大阪国際女子マラソンは、奥村組にとって「お祭り」みたいになっています。希望する社員は全国各地から駆けつけることができます。ボランティアとして、給水所で水を渡したり、ゴールした人にフィニッシュタオルを掛けたりしています。
マラソン協賛は、社員のモチベーションアップにもつながっています。当社の広報の転機は、やはりマラソン協賛が一番大きいです。そこからCMなどが派生していった感じですね。
「テレビCMやってるし、奥村組がいいんじゃない?」
――広報活動の効果をどのように把握していますか。
藤本 自社で認知度を調査し、データを取っています。データ上の認知度は着実にアップしています。正直に言って、広報に対する反響は、具体的に把握しづらいところがありました。そもそもCMを出したから、すぐ効果が出るものでもありませんし。周りから「CM観ました」と言われることはありますが、実際のところどうなのかなと思っていました。
ところが、採用の面接担当者によると、どうやら学生の親の世代がCMを観ているらしいんです。とくに内定承諾の段階で、CMの効果が出るそうです。
今の学生さんは、会社から内定が出たら、まず親に相談するようですね。親が「テレビCMもやってるし、奥村組がいいんじゃない」と言うので、内定辞退が減っているようなんです。認知度を上げた結果ですよね。それはCMの大きな効果だと思っています。
広報活動では、具体的なターゲットを決めにくいところがあります。「リクルーティングを意識しなければいけない」という一方で、会社として「ビジネスゾーンも視野に入れなければいけない」ので、非常に難しいんですよ。
奥村組のCMが親世代に届いているというのは、非常に嬉しいことなんです。「ビジネスゾーンにもCMが届いている」ということですからね。
「CMが学生だけでなく、その親世代にも届いているのが嬉しい」と語る藤本さん。
――着実に認知につながっていると。
藤本 そうですね。やはり、会社名を「知っている」のと「知らない」との差はものスゴく大きいことだと思っています。
例えば、学生さんが就活するのは、知っている会社からですよね。知らない会社は調べることもしません。合同説明会などで、十把一絡げ状態で説明する場合でも、大きな差が出ると思うんです。
手前味噌になりますが、奥村組は良い会社なので、学生さんに知ってもらえさえすれば、絶対興味を持ってもらえると考えています。これはリクルート活動以外でも同じことではないかと思っています。
――今後の広報展開についてはいかがでしょうか?
藤本 「攻めの広報」としては「まだまだ」だと思っています。マラソン協賛は4年契約なので、4年で一区切りだと考えています。この4年間でどれだけ認知度を高められるかが、私の大きなミッションです。
一定の成功を収めたとしても、同じことを繰り返すだけではダメなので、手を変え品を変え、いろいろと考えていかなければなりません。
今、「新しいCMをつくろう」という話にはなっています。「建設が、好きだ。」というコンセプトは変えませんが、検討しているところです。
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。
OBの湊です。少し前になりますが、広報課に神流川発電所と八甲田トンネルの貫通式の写真を送りました。岡田常務執行役員さんにも神流川の写真が CMに出たことを伝えました。当時、岡田さんは橋本営業所の所長をしておられました。私の自宅から営業所は近い所にあります。又、リニア新幹線の神奈川県駅の工事をしていることもあり、後輩の岡田さんとは現役時代から顔見知りでもあり、親しみやすい人柄の岡田さんがおられ良かったです。八甲田トンネルの貫通式典では、社長さん初め皆さんの写真を撮りました。それが縁で年賀状を頂きました。ブリッジの放映、私も少し出ます。直筆で書かれていました。ホノルルマラソンのこと、奈良へ転居の知らせ。こうしてお世話になった会社の情報、TVCMが観られ幸せです。会社の発展を祈っています。