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【合意形成のプロ】首都高のベテラン技術者が語る「動かないプロジェクト」の動かし方

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公開日:2019.11.29 / 最終更新日:2022.08.16
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クルマが好きで、首都高速道路へ

――土木に興味を持ったきっかけを。

諸橋 今は土木の仕事をしていますが、もともと「土木の仕事をしたい」と思っていたわけではありません。もともとクルマが好きで、大学では機械工学を学ぼうと思っていました。

ところが、共通一次試験で良い点が取れなかったので、志望していた機械工学科を断念せざるを得ませんでした。そこで、車が関係するだろうということで、交通工学のある土木工学科を選びました。

――土木には興味がなかった?

諸橋 そうですね、あまり(笑)。あくまで車への興味から交通工学に行きました。当時は長大橋が全盛期のころだったので、周りは「橋をつくりたい」とか、土木に夢と希望を持った学生ばかりでしたが、私だけ土木に興味がなかったという状況でしたね(笑)。

実家は埼玉の所沢で、東京の世田谷の大学にクルマで通っていました。ちょっと遠かったので、下宿するかという話もあったのですが、「下宿はいいから、クルマを買ってくれ」と親に頼みました(笑)。週1回ぐらいですけど、クルマで通学してたんです。クルマに乗りたいがために大学に行ったようなものです(笑)。

実家から大学まで距離にしたら30kmぐらいしかなかったのですが、2時間半かかったんです。青梅街道、環八、環七を通るわけですが、とにかく渋滞がヒドくってね。ありとあらゆる抜け道を探して行くわけですが、それでもそれだけかかったんです。クルマで行くと、まともに授業を受けられませんでした(笑)。

クルマに乗りたくて通学したのに、実際に運転すると、まともに走れやしないわけですよ。「なんなんだ、これは」ということで、渋滞に興味を持つようになったんです。そこで交通工学の研究室に入って、合流や線形、信号の制御などを研究したわけです。道路の構造ではなく、道路の計画に対する興味が強くなりました。就職の際には、「絶対、道路会社が良い」と考えるようになっていました。

――それで首都高を選んだと。

諸橋 道路と言えば、当時は日本道路公団でしたが、それよりは、まさに渋滞問題を抱えていた「首都高が良い」ということで、当時の首都高速道路公団に入りました。新しい路線の計画とかやりたいなと思っていました。入社は1990年で、土木職でした。

――自治体への就職は考えなかったのですか?

諸橋 自治体だと道路ができるかわからないじゃないですか。例えば、河川を担当するかもしれません。「それはイヤだ。ずっと道路をやりたい」という思いがあったので、そのつもりはなかったですね。

「動かないプロジェクト」の動かし方

――これまでどのようなお仕事をされてきましたか?

諸橋 「新しい道路の計画をやりたい」と言って入社したわけですが、最初の3年間は、設計や現場事務所で施工管理の仕事をやっていました。幸いなことに、4年目に本社の計画部に配属になり、その後、ほぼずっと計画・調査畑でやってきました。途中、国交省やJR東日本に出向したりしましたけど。

一番長くやってきたのは、新しい道路の都市計画決定とか、新規事業や関係機関・地元調整など調査関係の仕事です。路線で言えば、新宿線とか品川線とか、横浜で言えば北線、北西線とかの事業着手に携わってきました。

――出向先ではどんな仕事を?

諸橋 国交省では、1996年から都市局の街路課に2年いました。JR東日本には2009年から2年いて、東日本大震災はJR社員として経験しました。1年目は東京工事事務所にいて、JRの駅の拡幅などに携わっていました。2年目は本社の建設工事部にいました。非常に勉強になりました。

――JRと人事交流があるんですね。

諸橋 私の1つ前の代から始まりました。首都高速道路公団が2005年に株式会社化されたので、「民間会社とはどうあるべきか」などを学ぶため、先行して民間会社になったJR東日本との土木技術者の人事交流が始まったんです。今も続いています。

――何が勉強になりました?

諸橋 例えば、ウチが民間会社になったときに、「アレをやっちゃいけない、コレもやっちゃいけない」という抑圧感があったんです。とくに新規プロジェクトについて。JRに行ってみると、別に抑圧を感じることもなく、普通に仕事していたんです。民間会社になったからと言って、変に萎縮しなくても良いんだということがわかりました。

――国交省では街路事業を担当された?

諸橋 そうです。全国の市町村の街路事業の予算配分をしたり、事業認可を出したりしていました。全国の街路事業を学べたし、ビッグプロジェクトの動かし方なども経験できました。国交省にしても、JRにしても、プロジェクトを実施したり、プロジェクトを立ち上げるセクションだったので、今につながる良い経験になっています。

要するに、「動かないものをどうやって動かすか」「誰をどう調整すれば良いか」を学べたということです。

首都高は比較的そこが弱いんです。協議の立場上、国があって自治体があって、その下ですから、なかなかな強くモノが言えないところがあります。お願いする立場なので、「うん」と言ってもらうためにはムリも聞かざるを得ないんです。

――東日本大震災発災時はJRのオフィスにいたのですか?

諸橋 そうです。本社ビルにいて、5mぐらい揺れましたよ。地震の後、私は関わりませんでしたが、所属していた部署の同僚は、復旧計画を策定していました。私は、地震によって倒れてしまった新幹線の架線復旧の工程管理を担当していました。

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四国の犬
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基本的には従順ですが、たまに噛みつきます。
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コメント(1)

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  • - 2023/03/09 7:28

    おたくは偉くて現場の現状知らんやろうけど、あんたらが雇ってくる委託監督が、保身で作らせる、無駄な書類。あれ何とかしてよ。竣工検査で見ることなく終わるものばかり、、、
    それと偉そうな態度。ほんまもんの発注者が偉そうにしとるのは100歩譲ってガマンするけど、なんでクソ委託が偉そうにしてんだよ

    返信する 通報する

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