発注者や地域にはメリットが大きい
ECI方式は、携わる人にとっては苦労が大きい発注方式であることは間違いない。建設コンサルタントにとっては設計業務を遂行する一方で、ゼネコンからの提案を設計に盛り込む必要が生じ、業務中の手戻りが大きくなったり多大な修正が生じる可能性がある。
ゼネコンにとっても、通常の工事設計ではなく技術知見や経験を提示する必要があり技術流出の懸念がある。また、受注者からの提案事項を着実に遂行することが絶対であり、何かトラブルがあった場合の責任が大きくなりやすい。
一方で、発注者はもちろんのこと、特に地域の人にとってはメリットが大きい。これまで何年何十年とかかっていた事業が、わずか2、3年で完了して便益を享受できるようになるからだ。特に、大規模災害により交通網が大ダメージを受けた地域においては、その効果はより大きいだろう。
今年も台風などの被害がとても大きかった一年だった。昨年や一昨年の災害復旧がままならないうちに今年の災害によって、査定をやり直したり工事が追加・変更になったケースもあると聞く。
人材不足が当然になっている中、各会社とも人繰りがとても厳しくなっている。そんな中で、ECI方式はデメリットもあるがメリットもある。今できることを念頭に置きながらうまく活用していけるように、国をはじめとする発注者側は考えてほしいものである。
※内容は、九州地方整備局や熊本河川国道事務所のホームページに記載されている事項を参考にした。