手抜きをすると、すぐバレる
――印象に残る仕事は?
政門さん 首都高速道路では、交通事故が発生したり重大な損傷が発見されたりして、緊急に対応しなければならないことが年に数回必ず起こります。そういうときには、NEKに連絡が入ってすぐ現場に駆けつけると、首都高関係者から「今晩中に補修工事に入れ」と言われることもありました。
普通に考えるとムチャクチャな話なんです。数時間で対応策を決めて、材料も手配して、なんとか工事に入り、朝方には工事を終わらせ、交通開放にこぎつける。そういうことが年に1回はあります。そういう緊急対応の仕事が印象に残っています。自分たちが培ってきたノウハウを全部絞り出して仕事をするので、当然やりがいを感じますよね。
――「これは失敗したなあ」と思ったことは?
政門さん これも首都高の話なんですが、30歳ごろに、ある試験施工をやったことがありました。試験施工の後、当時忙しかったので、A4の紙4枚ぐらいに簡単に報告書をまとめて、首都高様に出しました。すると、首都高の担当者に「これは速報版ということで良いのかい?」と言われたんです。
「どういうことだろう」と思って、その方といろいろ話すうちに、「これは手抜きだよね」とはっきり言われました。「あ、見抜かれた。やっちゃったな〜」と思いました(笑)。
1ヶ月後、75Pの報告書をまとめ、再度提出しました。すると、その方より「やっぱり、あなたはNo.1だね」とおっしゃていただきました。ほめられたことの喜びと合わせて、仕事への取り組み方を考え直したことを覚えています。「手抜きすると、すぐバレる」ということを学びました(笑)。
部下に「ついて来てほしい」とはこれっぽっちも思わない
――人材育成で心がけていることはありますか?
政門さん 自分が「楽しく仕事をしている姿」をちゃんと見せることですね。部下には「私の仕事を見て覚えろ」と常に言っています。それを見せることによって、部下も楽しく仕事をするようになると思っています。
あとは、「コイツはできる」と思った人間にはどんどん仕事を任せるようにしています。お客さんから「さすがですね」とホメられると、本人は喜びます。あと5年もすれば、日々の業務はすべて部下に任せられるようになると思っています。
――それで部下はついてきていますか?
政門さん NEKの社長からも「お前のやり方では誰もついてこないぞ」と言われますが(笑)、「ついて来てほしい」なんてこれっぽっちも思っていません。むしろ、これからは「もっと突き放そう」と考えています。
ただし、私が普段何をしているか、どんな勉強をしているかなどは、すべてオープンにしています。今のところは、技術的にはまだまだの人間が多く、自分のやり方の結果が出るのはまだ先ですが、変えるつもりはありません(笑)。
ただ、お客さんに出す書類は、私が厳しくチェックしています。ミスがあると、厳しく部下を叱ることもありますが、「やらされ感」もなく職場の人雰囲気は良好です。「最近の若いものは」と言う人がいますが、私の周りの若い社員はみんなしっかりしているので、どういう若者なのか、私には良くわかりませんね。
――「若い人が入らない、入ってもすぐ辞める」という話を聞きますが。
政門さん ウチも5年ほど前はそういう問題を抱えていました。本社オフィスが横浜市内の不便なところで、古い建物だったため、誰も来てくれませんでした。そこでオフィスを移転したんです。便利な立地で、キレイなオフィスなら、人も来るだろうと考えました。
それと、昨年から横浜F・マリノスのスポンサーにもなりました。企業イメージを向上できると考えたからです。おそらく、建設コンサルタントでプロサッカーチームのスポンサーをやっているのはNEKだけだと思います。
これらの取り組みが功を奏して、ここ数年は、かなりの数の入社応募者が来るようになりました。毎年5〜8名程度、会社が希望する人数を採用できています。現在、NEKには約80名の社員がいますが、毎年1割程度増えてきています。
――メンテナンスの仕事のやりがいは?
政門さん 自分は「橋の医者」だと思っています。患者の悪いところをちゃんと治すという意味では、人間も橋も同じです。橋の病状をしっかりと見極めて、コストも安く、時間も早い一番良い処方をしてきました。ちゃんと治ると、発注者から感謝していただけます。
また、世のため人のためと実感が持てます。そこにやりがいを感じますね。もちろん自社の「儲け」は大事ですが、それだけのためにやっているわけではありません。人に喜ばれてこそ、仕事のやりがいを感じます。
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本物のコンサルタントとは何かを教えてもらっているように思う。