首都圏、関西などから毎回約30名が参加
ウェビナー第一弾は、3月中旬に実施した業務分野(土木・建築・機械など)のもの。最も参加者の多い回では、定員である約30名が参加した。酒匂さんによれば、「これまで10回ほど実施してきましたが、軒並み定員いっぱいの参加者がありました。参加希望が定員をオーバーし、参加をお断りするケースもありました」と言う。定員を30名に設定したのは、使用するシステムの通信状況などを考慮した暫定的な措置だと言う。今回、ウェビナーには「Skype for Buisiness」を使用している。
新卒採用絡みでウェビナーを開くこと自体は珍しくもないが、国土交通省がやるとなると話は別だ。「よく決断したな」と感心する。ウェビナー実施の経緯について、「新型コロナウイルスのため、当初予定していたイベントが軒並み中止になりました。でも、学生のみなさんは情報が欲しい。どうにかできないかということで、急きょWEBイベントを実施することになりました。国土交通省では、本省と各地方整備局を結ぶTV会議を実施していたので、このシステムを流用することにしたわけです」と説明する。
参加者の所在地は、首都圏と地方がだいたい半々。国立大学、私立大学の割合は、ざっくり7対3ぐらいになる。「WEBだと、地方大学の学生も参加しやすいので、学生さんにとってもメリットがあると思っています。対面式のイベントになると、霞が関に足を運ぶ必要があり、交通費がかなりかかってしまいますので」と指摘する。
自分だけがしゃべると、お経を唱えているようになる
現在のスタイルでのウェビナーの難点は、参加者の反応が見えないことだ。ウェビナーでしゃべっているのは、基本的に国土交通省の人間だけだ。参加者が本当に聞いているのかどうかさえわからない状況の中で、カメラに向かって熱心に話しかけなければならない。それなりのメンタルと経験が必要そうだ。
一般的なWEBライブでは、主催者がチャットで視聴者のリアクションを確認しながら、話題を変えたりする状況が見られるが、それはあくまでプライベートな領域での話。国土交通省の採用ウェビナーともなると、参加者は、通常のセミナーと同様、かしこまってしまう状況があるようだ。
この点、「参加者の顔が見えない中で、自分だけがしゃべっていると、お経を唱えているような感覚に陥ることがあります。イベントの臨場感を出すために、あたかも参加者と実際に会話をしているようなスタイルの司会進行をすることもあります」と明かす。
個別面談形式であれば、お互いの顔が見えるので、この難点は解決できる。ただ、「われわれとしては、参加者になるべく多くの情報を提供することを主眼に置いています。その意味では、セミナー形式ではなく、個別面談の方が、より参加者が求める情報をお届けできます。ただ、物理的・時間的な限界がありますので、ある程度はセミナー形式に頼らざるを得ないのかなと思っています」というのが現状だ。
「動画を見る限り、水位計は水没か水没に近い状況で、観測不能の期間が生じたと考えるのが妥当だと個人的には思う。計測値は10分ごとなので、濁流が橋桁を越えるような状態が10分未満ならピーク水位を測定できたとも考えられるが、もっと長く続いていたと思われる。なんとも腑(ふ)に落ちない計測結果だ」と答えた。
国交省九州地方整備局(福岡市)の酒匂一樹・河川計画課長は9月27日、朝日新聞の取材に応じた。「水位が測れていることは事実。計測値は水位計からリアルタイムで外部のサーバーに送信されている。水没すれば『センサー異常』と通知されるが、そうなっていない」と答えた。