ゼネコンA社での施工管理は順風満帆
ゼネコンA社は政令指定都市に拠点を置いており、当時A〜Dランクで公表されていた市内業者への地域限定の格付けでAランクに位置づけられていました。この会社の経営手法は手形を使わない現金決済、さらに無借金で経営をしていた優良企業です。
教授から受けたご恩、拾っていただいた大手ゼネコンA社への感謝、そして憧れの職業・施工管理ということから、ゼネコンA社のために必死に働くことが、私の最低限の務めとなりました。そして何よりも施工管理という仕事に実際に携わってみたら、考えていた以上に楽しかったのです。
ゼネコンA社にお世話になることになった翌年には所帯を持ち、子にも恵まれ、さらに家も建てて順風満帆。私にとって、いかに「転職」があり得ないことだったか、お分かりかと思います。
ゼネコンA社も避けられない不況のあおり
しかし、そんな矢先、サブプライムローンやリーマンショックによる経済の冷え込みの余波を受けて、建設業界も最悪の時期を迎えます。格付けAランクのゼネコンA社に入社し、将来安泰だと思っていましたが、徐々に残業代、休日出勤手当て、ボーナスなどが支給されなくなり、「お金」という形で家計に影響が出てきました。
1、2ヶ月の話でなく、このような不払い状況が長く続き、ついに妻の口から「転職」というキーワードが強く発せられるようになりました。私にとって大手ゼネコンA社からの転職は、どうしても受け入れ難いものだったため、妻からの転職の催促は半分聞き流していましたが、住宅ローンの返済や、子供が保育園に入れず、親は遠方で頼れないなど、やがて家計が切羽詰まり、転職の道を余儀なくされました。