「木造よりRC造」というイメージを乗り越え、年間施工100棟を目指す
――6月に、CLT工法を用いた住宅の第1号棟が岩手県に完成したが、今後の展望は?
大久保 この建物は、当社の協力会社の社員寮です。ツーバイフォーのパネル工場の会社で、CLT工法の開発もサポートしていただき、実験的な材料も使いながら、検証も兼ねて施工した経緯があります。寒い地域ですから、断熱性の高いCLT住宅は住み心地が良いと思います。
CLT工法は家賃アベレージが高い地域に適用できると考えています。まだまだ追いついてはいませんが、首都圏を中心に年間100棟の施工を目指しています。
一般的には木造とRC造を比較すると、RC造が上位というイメージです。それを乗り越えていくにはまだまだ時間が掛かります。今後は、まずは社員研修を通してCLTのメリットや当社の優位性などを社内に浸透させ、CLT工法が優位性を発揮できる地盤の場所を開示することにより、販売促進につなげていきたいです。
――CLT工法を普及させるにはどうすればいい?
大久保 住宅品質確保促進法(品確法)の改正や、設計の手順の告示化ができていけば、設計がしやすくなり、普及にもつながると思います。今回、オリジナル金物や耐火外壁の施工方法などの大臣認定を取得しましたが、これを告示で済ますことができれば、もっと普及していくと思います。
また、法律面に限らず、CLT工法の設計をできる人が限られているので、CADのような設計ソフトが広まっていくことも大事です。それらに対しての補助金や改正法による後押しがあれば、発展が期待できると思います。
あとは、他社も含めて次々とCLT実用建物を増やしていかなければ、材料が安くなりません。林野庁にも継続的に補助金を出していただきたいと期待しています。
CLTを活用し、公共事業にも参入?
――公共建築への導入は考えている?
大久保 当社は民間工事が主で、これまで公共事業を手掛けていませんが、今後はPFI事業でチャンスがあれば公共事業にも取り組み、街の脱炭素化にも貢献していきたいと考えています。
私は環境企画課長も兼ねておりますが、CLT工法は環境と相性がいい。CO2排出削減効果も高く、持続的な森林環境保全が実現します。「Forterb(フォルターブ)」は、「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」と「脱炭素チャレンジカップ2020 環境大臣賞金賞」をそれぞれ受賞し、技術開発とともに環境面も評価されたという実績があります。
ただし、受賞がしたくて取り組んでいるわけではなく、環境に貢献できる工法だからこそ、会社の主力事業としていきたいという思いが強いです。CLT工法への取り組みはこれで終わりではなく、さらに二の手・三の手に取り組み、この続編をリリースできるよう今、取り組んでいますので当社の今後の取り組みにご期待ください。
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