「多段階リスク明示型浸水想定図」による河川整備
次に、土木学会の具体的なアクションとして、「多段階リスク明示型浸水想定図」による河川整備と流域の状況の把握を上げた。これは、どの領域がどの程度氾濫するかという”段階的な治水安全度”が分かるものだ。
背景としては、これまで河川整備についてはダムがどの程度完成したかといったアウトプットの情報は広報され、流域住民も共有されてきた。一方で、今後は自分たちの生活がどれだけ安全になったかというアウトカム指標を提示していくことも重要になり、そのための技術開発がポイントとなる。アウトカム指標をもとに一目でわかる「多段階リスク明示型浸水想定図」を作成する必要性を示した。
「多段階リスク明示型浸水想定図」は、洪水ハザード情報、地域の曝露量、脆弱性の情報を統合する内容で、整備にあたっては土木工学等の総合的な知見が必要であるため、河川管理者、流域市町村、流域の土木技術者や関係学会が連携し、技術開発や普及を図るべきとした。
国の直轄管理している大河川は相当な技術的蓄積があり、「多段階リスク明示型浸水想定図」の作成は可能であるとした一方、しかし、全国2万河川といわれる中小河川で作成するのは、現在の体制では困難であるとし、技術的・財政的支援については、地方自治体を通じて国等への支援を求めるという問題意識を明らかにした。
浸水の危険度で土地価格が異なる市場メカニズムを活用
また、流域治水と土地利用の観点からは、市場メカニズムを活用した流域治水の推進を盛り込んだ。すなわち、行政がいくらここの土地が危険であるから、個人や法人等に移転を促進しても現状、うまく進展していないことが実情だ。そこで定量的に浸水の危険度により、土地の価値が異なることを示すことにより、損害保険に使用するような科学的情報を提供していくとした。
たとえば、立地行動を促す水害保険の適切な料金設定をするために、河川管理者には、「多段階リスク明示型浸水想定図」等の情報提供の充実を求める一方、土地利用と一体となった都市河川の整備や貯留浸透施設の設備については、民間資金導入のための制度づくりが必要で、その効果の評価手法の研究開発に、土木学会等は取り組む必要があるとした。
課題として挙がった「地域の脆弱性」
さらに流域社会の課題として、脆弱性も上げた。災害応急復旧活動に携わる市町村の土木部門の職員は、1996年をピークに約30%減少し、技術系職員が存在しない市町村が全体の地方自治体の3割に上るという懸念すべき事態となっている。技術者の減少は地方全体に及んでおり、いざ災害が発生した際、地域の災害対応能力が減少していることは大きな問題だ。
最近では、大災害が発生すると国が地方をサポートする「直轄の権限代行」を実施するケースがあるが、仮に全国で広域的な大災害が発生した場合、この方式で対応できるかの疑問の声が上がった。
そこで地方自治体や地域建設業の技術力を維持、向上していく必要があり、国に頼らずとも地方自治体の相互の支援体制の構築も含め、災害対応力の強化をはかるべきとした。地域に必要な技術者、オペレーター、作業員が適切に維持できる公共事業の長期的なビジョンこそが地域の強靭性につながるという視点も示した。
河川整備は賛成ですが、発生土の処分運搬について、
絶対に過積載しないと規定量にならない1枚/台のUCR等のぼったくり処分費チケット、現実的に積載量ぴったりなどありえないが、1㎏でも過積載すると違反になる道交法、そして特記で指定しておいて、実情をわかっていながらそれら問題を考慮した運搬費を払わない発注者、いいかげん税金ロンダリングのしわ寄せを施工者におっつけるやめません。
毎回現場から声を上げるといやがらせされるのでこの場をおかりしました。不快になられた方がいたら申し訳ございません。