相次ぐゼネコンの大型倒産
そんな中、公共工事を主体とするゼネコンの破たんもあった。たとえば、江東区に本社を置いていた株式会社創真は、受注のほぼ100%を公共工事が占め、都営住宅や庁舎などの建物建築や、東日本大震災以降は耐震補強工事などが堅調に推移し、2020年6月期は過去最高となる完工高21億9751万円をあげていた。
しかし、親密な取引関係にあった東京・足立区の「奥井建設」が破たんし不良債権が発生。さらに、コロナの影響で民間工事が減少し、これまで民間主体だった工事業者が公共工事の受注を積極化するなどして事業環境が悪化。2020年12月21日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
また、富山県下有数のゼネコンである相澤建設株式会社は、官公庁や民間企業、一般個人などから受注を確保し、注文住宅をはじめ店舗、飲食店、病院、学校など幅広い業種の物件を手掛けていた。バブル期の1991年2月期にはピークとなる完工高45億9874万円を計上していたが、2020年2月期には完工高18億8034万円にまで減少していた。
それでも現場を多数抱えていたが、関連会社の温浴施設や焼肉屋などが新型コロナウイルスの影響を受けてグループ全体の業績が急速に悪化。資金繰りも限界に達したことから、事業継続を断念。2021年4月5日、富山地裁へ破産を申請した。相澤建設のケースは、本業に専念していれば事業継続が維持できたと想定されるが、事業の多極化がアダになった形だ。
民間の投資意欲の減退、工事の延期などに要注意
現在、国の支援制度等で倒産こそ減少しているが、工事量は2021年度も減少するとの観測もあり、その窮状が次第に顕在化している。2回目の緊急事態宣言により投資意欲の減退、民間工事の計画見直しや延期の影響を懸念も続いており、コロナ禍で経営基盤が減退した建設業の休廃業・解散、倒産も現実味を帯びている。また、地域や雇用などの影響が懸念される。
「これからも設備投資の減退感が強まると、建設業の停滞感や不況感も強まるのではないでしょうか」(永木さん)
コロナ禍では、旅行業界・飲食業界への窮状がクローズアップされるが、今後、建設業界の動向も一層注意したい。
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