メールも電話も必要ない。DXで業務をフルクラウド化
――Holostructionに代表されるように、小柳建設では卓蔵社長への代替わり以降、DXに関する取り組みを社内外で積極的に推進していますが。
小柳 卓蔵氏 ええ。社内での取り組みの一例としては、2016年の秋頃から社内ではEメールを事実上廃止し、現在ではチャットツールの「Microsoft Teams」を活用しています。Eメールでは、スパムメールや不要なメールもたくさん届くため、大切なメールが埋もれてしまいますし、探すにも手間が掛かります。また、メールは送ったら最後、取り消しができませんが、チャットであれば変更も編集も可能です。
今ではMicrosoft Teamsによって会議やチャット、通話、共同作業など、ほとんどの作業が完結しています。唯一メールを活用するのは、社員に給与明細を送る時だけです。メールだけでなく電話についても、電話応対についてはすべて外注し、担当者には追ってチャットで内容を伝わるようにしています。

現場とのリモート会議で、生産性向上
また、建設業界では未だFAXが営業ツールとして使われており、セミナーや建設機械などの営業FAXが頻繁に届きますが、Microsoft TeamsとFAXを連携しているので、FAX機から紙が流れることはなく、必要な情報のみをMicrosoft Teamsで選別できるようにしています。加えて、調達業務では「クラウドサイン」による電子契約を行い、人事労務業務にも「SmartHR」を用いるなど、ペーパーレス化を進めています。
施工管理業務についても、現場情報共有システムの「All-sighte(オールサイト)」や防犯カメラの「Safie(セーフィー)」などを導入することで業務全体をフルクラウド化し、いつでもどこでも仕事ができるような環境を整えてきました。
売上を圧縮してでも、現場監督を休ませる
――DXによって、社員の残業時間も短くなったのでは?
小柳 卓蔵氏 そうですね。前述したDXの推進、社内のフルクラウド化などにより、月平均の時間外労働時間は2018年度の7.5時間から翌2019年度は3.3時間と、半分以下に減少しています。昔であれば、書類は社内で確認しなければなならないなどの業務の無駄もありましたが、今はフルクラウド化によって場所を問わずに業務が可能になり、生産性も一気に上がっています。

2021年1月に竣工した新社屋では、フリーアドレスを採用
また、DXに加えて休日制度自体も大きく見直してきました。当社では何年も前からリフレッシュ休暇制度を設けており、土日を含めた連休の取得を奨励しているのですが、この制度を実現にするために当初の売上高100億円ほどの規模から、70~80億円まで売上を圧縮しています。
これは、現場に必要な人員をしっかりと配置するためです。あまりに少ない人員で現場管理をすると現場監督は休むことができませんから。一般的に、現場監督の休みが取れない理由のほとんどは「忙しいから」ですが、とくに今は新型コロナウイルス感染のリスクもある中で、休ませることのできない運用体制であることはおかしいでしょう。
個人ではなくチームで成果を出すことで、売上高よりも、病気など何かあった際もチームでフォローし、安定的に現場を回せる体制を維持することを選びました。
長続きしなそうな。。。
この社長の言葉を綺麗事や絵空事として捉える会社が跋扈する限り、どれだけ社会全体の時勢が変わろうとも建設業界は変わらない
どうせ現場じゃつかわねんだろ
現場で使えるものになるまで根気強く頑張って欲しい。