属人化からの脱却には、社内からアレルギー反応も
――これだけの改革を進めるのは大変だったかと思いますが。
小柳 卓蔵氏 ええ。改革に当たっては、役員の総入れ替えを行い、ゼロベースですべてを見直していきました。元々、役員は10人いて、平均年齢は60歳強でしたが、2019年度には3人まで減らし、かつ人員を一新して、平均年齢40歳で再構築することでスピード感を持って取り組みを進めてきました。
ですが、一連の改革の際には、社内からアレルギー反応が出たことも事実です。これは中小企業ならではですが、仕事の内容が属人化していたこともあり、クラウド化等により業務の共有が図られると仕事を取られると思ったのでしょう。中には、「そんなことをするくらいなら退職します」という社員もいました。「オレが辞めたら困るだろう」と会社を脅しにかかってくるわけですよ。
しかし、それに屈していくと変化することはできません。私も懸命に説得しましたが、納得してもらえない場合はその意思を尊重し、最終的に退職されていきました。業務を仕組み化するという軸に共感してくれる社員に残ってもらい、今は皆がその判断軸のもとで働いています。
後継者不在よりも「社長を退かない」ことが問題
――小柳建設では、事業承継を契機に様々な改革を進めてきましたが、建設業界全体を見ると事業承継が上手くいかないケースが目立ちます。この現状をどう見ていますか?
小柳 卓蔵氏 建設業界の事業継承に関しては、世間で叫ばれている後継者不在よりも「社長を退かない」ことのほうが問題だと思っています。日本の中小企業では、50~60歳と高齢になってから社長を引き継ぐことが多いですよね。すると、引き継いだ側は「この年になってようやく思い通りになる」「やっと自分の時代が到来した」という感覚を持ちます。こうなると、本来ならば早くバトンを渡したほうが時代の変化に対応できるにもかかわらず、どんどんバトンを渡すのが遅くなっていってしまいます。
私は4人兄弟の3男坊で、諸般の事情で私が継承することになったのですが、父である名誉会長も28歳の時に事業を引き継いできたこともあり、「若いうちから経営をしたほうがいい」と私が32歳の時にバトンを携えてくれたことはありがたいことでしたね。
長続きしなそうな。。。
この社長の言葉を綺麗事や絵空事として捉える会社が跋扈する限り、どれだけ社会全体の時勢が変わろうとも建設業界は変わらない
どうせ現場じゃつかわねんだろ
現場で使えるものになるまで根気強く頑張って欲しい。